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「瑞稀、」

『っは、はいっ!』

話しかけた途端にかしこまってせわしなくヒレをわたわた動かす。
いや、かわいいけどね。

「そんなに固くなんなくてもいいよ。言いたいことがあるなら、ちゃんと言ってね!」

『………?』

『遠慮はすんなってことだ』
『はい、…』

『そんなに敬語も使わなくていいよ。遠慮はお互いなしっ!』

『貴様は敬語が使えないだけだろうが』

『 失 礼 だ あ ぁ !』

「あははははっ」

『クスクス…』

『笑 う な あ ぁ !』

そこまでバカじゃない。
とはだれもフォローしてくれない。

「……あっはっは」

『ふはははは!』

とうとうライラはこらえきれずに手で床をばんばん叩いて悶絶している。

榮輝の笑い方のバカにしていることといったらない。
頼れるのは……







『…クスッ』



自分だけだったようだ。

『………(涙)』






「あ、もうこんな時間」
部屋の時計は5時をさしていた。

「ポケモンセンターの食事は六時半からだから、しばらくゆっくりしてて」

いいつつ手を洗い、備え付けのキッチンに入る。

『ご主人、どうされたのですか?』

どうやら固い固くないの問題ではなく、敬語が瑞稀の話しやすい言葉のようだ。
それにしても、ご主人…
初めて呼ばれた!
なんか新鮮だなあ…

『ご主人?』

「はっ!!…あ、えっと…ケーキ作ろうと思ってさ。みんな楽にしといてよ」

『食えるものならいいのだが…』

「失礼じゃあぁッ!」

『クスクス』



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