胃袋掴みます1

「啓兄!私の下着洗わないでって言ったよねっ!もう、もう、もうっ!」

「んだよぉ朝からうるせぇな。昨日飲みすぎて頭いて…薬ある?」

「知らないわよ!」


シャワーを浴びようとして洗面所のドアを開けると、中から出てきたんだ、この男が。


「哲也、また泊まってたの?」

「んー。啓司と飲んでたから。なまえこそ遅かったじゃん、もしかして新しい男でもできた?ちゃんと報告しろよな?俺が見定めてやるから。」


ポンポンって私の頭を軽く撫でるコイツ、土田哲也、私の元カレで2歳年上の兄貴、啓司のお友達。色々あって別れた私達は自分で思うよりもちゃんとお友達をやっていると思う。そう私は前に進んでいるの、前に。


「哲也には言わない。」

「は、なんでだよ?変な男に引っ掛かったらどーすんだよ?」

「変な男じゃないもん。」


ポロンってLINEが鳴る。朝のこの時間に私にLINEを送ってくるのなんて一人しかいない。思わず顔が緩んだ。そんな私をジロっと睨む哲也に啓兄が「珈琲頼むー哲也ぁ。」二日酔いの弱々しい声を出したから仕方なく哲也がキッチンに移動する。洗面所のドアを閉めて携帯画面を見ると思った通り臣からのLINE。


【はよ。身体怠くない?なんか連れ回してごめんな。けど楽しかった。んじゃまた後で。】


身体が熱くなるのを感じた。臣はマメにLINEしてきてくれて、こーいうのドキドキしちゃう。私より少し年下だけど男らしく引っ張ってく性格の臣に惹かれるのに時間なんてそんなにかからなかった。

prev / TOP / next