02

全ては、あの男のせい。

「隆二…。」

「んー?どした?眠くなっちゃった?寝る?」

「うん。」


うちに居候が増えた。なんでも隆二の大学の時の後輩とかで、ドン底に落ちちゃってて心配だから面倒みてあげようと思って。そんな優しい言葉と共に私と隆二の城に入り込んだソイツ、岩田剛典。パッと見ただのイケメン。この男がうちに来てからあきらかにセックスの数が減った。リビングで寛いでいたものの隆二の温もりが足りなくて、肩にもたげると隆二は優しく微笑んで寝室へと移動する。ベッドの上でおもむろに万歳をして服を脱ぐ私を見て「雪乃、隣に岩ちゃんいるから。」そう言うんだ。そんなの知ってるけど私には関係ない。私と隆二が愛し合うことに、岩ちゃんは関係ない。


「やだ、抱いて。」


隆二の首に痛いくらい巻き付くと小さく息を吐き出す隆二はグッと私と距離を作る。真剣な瞳で私を見つめた後、困ったように眉毛を下げた。だからそんな隆二に自分から口付ける。勢いに任せてそのまま隆二をベッドに押し倒すと隆二の腕がくるりと私を抱いて立場逆転。私を組み伏せた隆二はそのまま私に覆いかぶさってキスをくれるんだ。


「ずるいなぁ、雪乃のキスは。勝手に反応しちゃうよ、俺の…。」

「寂しいよ隆二。足りないよ隆二の温もり。」

「ごめんって。後輩の前でカッコつけたいんだよ俺も。でも雪乃の寂しさには気づかなかった。ごめんね、今まで通り抱くから安心して。ね?」

「ん。愛してる…。」

「俺も、愛してる。」


私の身体に顔を埋める隆二を身体全部で抱きしめた。

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