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何かにつけて、平成最後の…と、うたう2018年。
実際だからなんだよって話であって、こうやって世間では騒いでいるこの平成最後の冬が、ちょっとだけ嫌だったりする。
なんて内心思っていながらも、その話題にのってしまうのは見栄っ張りなのか、目立ちたがり屋なのか、自分でも分かっていない。
最後だろーが始まりだろーがなんら変わり映えのない日常に、卒業旅行というものが入り込んできた。
それはそれでまぁ楽しみ。
うちのクラスは男女の仲もいいし、高校三年間の中で、一番この三年B組が楽しかったから。
社会人になったらこの関係が崩れてしまうものかと思うと、それはそれで寂しいと思える。
「寒いとこ苦手…。でもゲレンデは二割増しだからなぁ!」
ほんのりニヤついた顔でメロンソーダを飲んでいるのは同じクラスの朝海。唯一私が仲良くできてる女子。
女子特有の群れ方が苦手な私と朝海はわりと最初から気が合った。
基本、女子より男子と過ごすことが多い私は、言っちゃえば「男たらし」って言われて陰で散々悪口を言われていた。特段面と向かってくる奴もいないから気にはしないけど。
朝海は学年1のモテ男、堀夏喜と付き合ったその日から、女子からめっきり嫌われたらしい…
「二割増し!!ゆき乃、俺がマンツーマンで教えてあげるからね!」
横に座ってピタっと肩をくっつけてくるのは長谷川慎。一年間付き纏われ続けている。
付き纏われているって言っちゃえば多少の語弊はあるかもだけど、恋とか愛とか、今の私には正直分からない。
アーモンドチョコを手にまこっちゃんの手が私の口元にきたからそれをパクりと食べると満足気に微笑んだんだ。
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