SHORT | ナノ


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何かにつけて平成最後の―――をうたう今、せでかくだからそんな言葉を頻繁に使ってあげようとも思う。

平成最後の高校生活、やり残した事…


「朝海、次移動だけど?」


既に授業終了のチャイムは鳴り終わっていて、ボーッとそんな事を考えていたあたしに頭上から降ってきた声にコクっと頷いた。


「そういやマイコ、クリスマスまであと2ヶ月きったけど、長谷川慎とどうにかなりそう?」


級長マイコをいししと覗き込んで余裕な笑みを浮かべるゆき乃に、若干涙目のマイコは小さく溜息をつく。そのまま無言で首を左右に振るとまた溜息をついた。

どうやら苦戦中、らしい。

3年の私たちに残された時間は刻一刻と迫っていて、クリスマス前だから比較的男女の付き合いが実りやすいはずだと思われるんだけど、なかなか進展できない歯痒さを抱えているに違いない。


「慎くんは私って存在すら知らないんだろうなぁ。」


ぐだーっと机に項垂れる級長。ゆき乃の手借りりゃいいのに、それをしないから学年も違うし当たり前にアピールする術もない。自分から動かなきゃ何も手に入らないのに、奥手なマイコにはそれができなくて、毎度涙を呑んでる。

3人で移動教室の為教科書を持って教室を出た。

だけど目に止まるイケメン。


「ゆき乃さん!」


声をかけたのは、真っ赤な髪の北ちゃん。1学年下の北ちゃんは、後輩からも先輩からも大人気なイケメン。だけどその心はゆき乃に一直線。


「北ちゃん!どーしたの?」
「どーしたの?って、ゆき乃さんLINE読んでないのぉ?俺待ってたのに、」


甘えるようにゆき乃の巻いた毛先を触ると、廊下にいた女子が息を呑む。仕方なくって感じLINEを開いたゆき乃は、ニッコリ微笑むと「黎弥のが3分先だったの、ごめんね。」…罪なく微笑むゆき乃に、北ちゃんがガックリ肩を落とした。

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