鋭い眼光



_____ 地下街


其処は思っていたよりも遥かに私の
想像を越えた

地上に比べれば太陽の光も反射的に
少なく薄気味悪い地

そして地面には横たわり食を欲する者
もしくは既にミイラ化してしまいそうな
数々の死体達

...生臭い、この辺りは血の鉄分の
臭いが充満している


「ナマエ、御前には奴等の動きを見切って欲しい。奴等がどれ程の実力なのか見計らってくれないか」


金髪の男エルヴィン・スミス
私の分隊長でもある彼の命令にも似た
頼み事は断り切る事は出来ない

何が目的なのか、どうして今更こんな
グズな集落の元へ私達はお邪魔
しているのか


「分かりました、何か目的でも?」

「...後に話そう。行くぞ」


分隊長の言葉を合図とし私達分隊は
空を舞った

そして私は彼からの命を受け入れ
早速行動に移す

取り敢えず一方の景色が見渡せる
丘にも似た標高が高い平地へと移動した


予想以上に広いこの空間




分隊長の標的は女1人、男2人の
計3人の人間達


「此処の人間は立体機動装置まで扱えるの?でも一体何処で立体機動装置を...」


彼等は立体機動装置を見事に
扱いこなしていく
それは相当鍛練を重ねたであろう結果
が立派に現れていた


互いが引く気は無くひたすら
おにごっことも表現が出来る
面白い物が私の視界一杯に広がる

地形を把握しているからか上手く
この複雑な地形を利用し何とか分隊長達
を引き離そうとしているのが分かる

こんなグズの世界の中にこんな奴等が
混ざっていた何て...

才能って物は怖いもの



そして先に行動を示したのは此方側の
ミケさんだった

3人の中のリーダー格の男が油断した
隙を狙い間一髪突進する事に成功した


だけど、男は殴りをかまし冷静に
辺りを見渡す

あんな小柄な体格なのに凄い威力
顔までははっきり認識出来ないけど


だけど、男は分隊長によって
突き落とされた

それでも立ち上がる男

強い信念がある、この状況で抵抗を
見せる何て中々だと思う

分隊長にがむしゃらに殴りを入れ
それを続けようとするも呆気なく
他の連れ、2人は身柄を拘束されていた


それを目にし男は抵抗しなくなった


「お疲れ様、少し手こずりました?」

「ああ、久し振りだ。巨人を駆逐する際とは違う感じでな」

「でも上からずっと見てましたけどかなりのやり手の様ですね」

「まあ、私を見ておけ。」


一芝居が着いたと判断し私の役目は
終了し彼等の元へ飛び着地した

間近で見る小柄な男

身長は勿論私よりも上。
だけれど近くで見れば見る程腕に
いい具合で付いた筋肉

この筋肉からあの力は
引き出ているんだろう

彼は一目私も見るも直ぐに視線を
逸らし地面と向き合い俯いた


3人を目の前に並ばせここから
分隊長の尋問が始まる


「いくつか質問させてもらう、これをどこで手に入れた?」

矢張り一筋縄じゃいかない様で
3人誰1人とも口を開くことは無かった

「立体機動の腕も見事だった、あれは誰に教わった?」



沈黙が続く



「お前がリーダーだな?兵団で訓練を受けた事があるのか?」

分隊長は標的を一点、小柄な男へと
絞り個人に質問を問う


彼が分隊長に向けた視線は殺意

殺意に満ち溢れた瞳、怪しく光る眼光

少し鳥肌が立ってしまった


「どうやって私たちを殺して逃げてやろうかといった顔だな」

「できれば手荒なマネはしたくないのだが...」


分隊長がミケさんに視線を送り
ミケさんはコクンと頷いた


手荒なマネ

言葉な通り力付くでも分隊長は
やり切るつもりだ

男の髪を掴み上げ固いコンクリート
の地面へと一気に頭部を叩きつける


「もう一度訊こう」


「立体機動をどこで学んだ?」


分隊長の眼が本気だ、これは相当だな


それでも尚、男は口を開くこと無く
一向に分隊長一点を睨み付けた侭である


誰にも習っていない、と男に此れ以上
危害を与えたくないのかやっと口を
開いた女

それに続きもう1人の男も喋り出した


分隊長は先に名乗り出て男に名前を
問い出す

だけれど又それは沈黙へと逆上りし
男は話そうとはしない


分隊長がこのままでは仲間に手を掛ける
と脅しを掛けた所でやっと口を開いた



「てめぇ......」

「お前の名前は?」


「...リヴァイだ」



「リヴァイ


私と取引をしないか?」



この取引を機に私達の人生を大きく
揺さぶる事になる何て

当時は思っても見なかったかな


取引の内容は彼等の罪を全て取り消す
代わりに調査兵団へ入団しろとの事

もし断った場合は憲兵団に彼等を
引き渡し彼も仲間もまともな扱いは
望めないと分隊長はそう言った


「分隊長!?何をお考えなのです?彼等は地下街の住人、且つ数々の重罪を侵してきたのですよ?それを前提にしているのですか?」

相変わらず読めない分隊長は
又大きく私の情緒を不安定にさせた

本当に貴方だけは読めませんよ

私には理解出来ない
幾ら希望の星を彼等が秘めていようと
知識・人間性・強い信念が無ければ


「ナマエ、私を見ておけと言った筈だ。これはいずれ何かの役に立つ。私はそんな気がしてならない」


私は肩を落とし黙って分隊長の
後ろに着くことにした

貴方が言うのならその僅かな期待に
私も乗りましょう



「いいだろう


調査兵団に入ってやる」



男は確かにそう答を出した



_________________



「明日の朝にはここを出る、身支度等万全に整えておけ。

ナマエには悪いが見張りを頼む、御前1人で十分だろう」

「...分かりました、注意を払い役目を果たします」


あれから私達一向は彼等の案内で
彼等のアジトと呼ばれる住処へと向かった

矢張りリヴァイという名の男は口数が
少なく冷静だった、


分隊長や私以外の者は此処を後にした



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