〜10/03(光謙)




『貴方から降る優しい雨について、』




雨、は、だるい。

「ほんまお前、雨の日あかんのな」
「…毎回言うとるやないですか」


低気圧やとかなんとか、誰かが言うてた。
や、もう気圧とかどうでもえぇねん、だるいし頭痛い。

せっかく謙也さんがうちに居んのに。


「そんな辛いん?」
「、ぇ」
「あ、や、めっちゃ眉間に皺寄っとうから」
「あー…まぁ、そんな感じっすわ」

自分で日本語の返しおかしいのわかってんねんけど。
どうにも。

「財前」
「なんすか」
「辛いんやったら横なったら?」
「……謙也さんが膝枕してくれるんならなったります」
「なんやねんそれ!しかも上から!」
「して欲しいんすけど、膝枕」
「っ…し、したってもえぇ、けど」
「おおきに謙也さん」

窓際のベッド、壁に背を預けて謙也さんは座って。
俺はその膝に頭を預ける。

「かたい」
「当たり前じゃぼけ」

でも高さちょうどえぇ、あったかい。
窓際やから嫌いな雨の音、めっちゃ聞こえんのに。
不思議といややない。


あぁ。








「にしてもよう降るなぁ…」

瞼が、重たくてもうあがらへん。

「光?」


雨音と、謙也さんの声。
閉じた目蓋の裏側に降る雨は、なんだか優しくあたたかい。




「…おやすみ」





財前くんは雨の日体調悪くしてそうやなっていう偏見。







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