愛すべき不変に一生を誓う(幸真)

「ねぇ真田、君はどれくらい考えてる?」
「何をだ。」
「これからのこと。」
「これから?」

「そう、これから、どうやって自分が生きていくか。」


暫しの沈黙の後、君は答えた。
それはとても君らしい答えだった。

「決まっている、春から高校へ進学し、高校を卒業したら大学だ。そして就職し社会に恥じぬ生き方をすべきだ。」
「そうかい」

まぁわかりきっていたことだった。
生き方を問われて、君が一体それをどう受け取るか、なんて、俺はわかってた。
だから聞いてみた。

諦める口実が欲しかった。

「お前はどうなのだ。」
「俺?俺は、どうかな。絵も好きだけど、植物も好きだから、少し悩むかな…どんな道に進むか。」
「珍しいことを言うのだな。」
「そんなことはないよ、俺はテニス以外は思いの外こんな感じさ。」
「…そうか。」
「久しく、テニスもやってないけどね。」
「そうだな。」


こんなにもラケットを握ることのない日々は今まであっただろうか。
きっとなかっただろうと思うくらいに、俺たちの生活はテニスというものでできていた。
俺と君の間に、必要不可欠なものだった。

進路も決まり、卒業は目前に迫ってきている。

「春から、君とは違う学校へ通うだなんてなんだか不思議だな。」
「…あぁ、そうだな。」
「随分と長い時間を共に過ごした、…」

それが、終わってしまうなんて、と、口からこぼれてしまうところだった。
終わらなければならないんだ、こんな閉鎖的なもの。

ずっと一緒に居たからなんだっていうんだ。


「まぁ、それでもきっと変わらんだろう、お前も俺も。」
「え?」
「住んでいる土地が離れるわけではないのだ。そこまで生活する時間も変わらんだろう?まったく顔を合わせなくなるということもない。」

その言葉に俺が何も返せないで居るのを、君は不思議そうに見てる。
君にとっての当然というのは、いつだって俺にとってなかった選択肢だ。
君の中にある不変は、俺が変わるはずだと思っていることだ。
そんな、俺にないものばかりを持つ君だから、多分。

「じゃあ、休日には一緒にテニスでもしないか?」
「それはいいな。」

もう諦めはつかないと、裂ける心を、そう言って笑う君の笑顔で縫い合わせて。


一生でも君に、片想いを続けるよ。



+++*

辛くて、もうやめてしまおうっていう気持ちよりずっと想い続けることを決める幸村とか男前だと思います。
普通なら心が折れて駄目になっちゃいそうな決断をできる幸村がいいな!

多分この幸村は一生結婚しないと思うね。
真田がお見合いして結婚しますってなっても気持ちを伝えずにおめでとうって言って、相変わらずたまに会っては世間話みたいなことして、テニスしたりして。
変わらない関係を一生誓う。それも想いの強さかなーなんてー。

でもぽろっと35歳くらいで告白したらいいと思う。
幸真には広大な未来予想図が広がりすぎて困ります。





「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -