星よりもはやく



「鍵閉めんでー!はよ帰りやー!」
「なんや白石、今日はえらい急かすんやな」
「謙也さんのいらちうつったんとちゃいますー」
「あぁん蔵りんに急かされるなんて興奮するわぁん」
「浮気かこはるぅ〜」
「おーえぇからはよ出ぇ」

土曜日の部活終わり、普段より早いとは言っても4時を過ぎていた。
いつもなら急かさずだらだらと閉める部室も、今日はさっさと閉めて帰る予定があった。

謙也にも負けず劣らずのはやさで校門を出て、いつもの帰り道と逆方向にチャリを飛ばした。


今日は一切の無駄も許されへん。道一本間違えられへんのや。
無駄のないハンドル捌き、あぁエクスタシー!
ってエクスタっとる場合とちゃうわ。

帰宅ラッシュ、けれど平日じゃないだけ人の多さはましだった。
なかなか嵩張るラケットバッグが人に当たらないように、且つ急ぎ足で駅の構内を進む。
あまり馴染みのない改札を抜け、ホームへ上がると丁度到着した電車に乗り込み指定の席へ着く。
見慣れたはずの町並みは、見る角度が違うだけでまるで知らない町のようだ。
動き出した景色に向かう場所へ思いを馳せる。

「ふぅ」

車内での暇つぶしにと持ってきていたiPodは、なんとなく曲を聴く気分にならなくて鞄に突っ込んだまま。
結局そのまま窓の外を眺めていた。
柄にもなく、緊張してきたかもしれない。楽しみ、なのだろうとも思う。不安もあるかもしれない。
絶対的な自信を持つことができないのは、移ろいゆくものだからだと思う。証明も結果もない感情だから。


『次は…――』


到着を告げるアナウンス。

電車を降り、ふと冷静になる。正直、ほとんど考えなしに出てきてしまったために荷物は少ない。そういえば帰りのことをまったく考えてなかった。
完璧だなんだと言うけれど、テニスを抜けばそんなこともない。無駄ありすぎて歯痒いわ。
でも、そんな自分さえどうでもいいくらい、この気持ちだけが原動力なのだ。

電車を乗り継ぎ、降り立った場所は潮の香り。
時刻は8時過ぎ。
目的地にまだ明かりがついていることに安堵する。
消えるまでもう少し、この潮風を感じていよう。













「もしもし切原クン?部活終わったん?」

声を聞くだけで胸が躍る。あぁ、はやく。

「ほんなら校門で待ってんで」


部活終わりで疲れているだろうに、走ってやって来るはずの君を、人目も憚らずに抱き締めたい。
だって今日は、星さえも恋に輝く日だから。



+++*

どうしても七夕に白赤も書きたくてマッハで書いたら怪文書になり申した。
四天は朝〜夕練だけど常勝立海様は土曜日も夜まで練習してそう。
それを見越して部活終わりに神奈川へ直行する白石とかいいよね。2時間半くらいで着くしね。

七夕の夜を2人で過ごして!第1日曜は立海も部活オフだしね!






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