あなたの染め方
「しーらいーしさん」
「ん?どないしたん」
俺の周りには今までこういう人って居なかった
だから余計この人が気になる
好きって感情抜きにしても
「白石さん」
「ん?」
思えば俺は、まだまだこの人の表情なんてこうやって優しく微笑んでいる顔や真剣にテニスをしている顔、同じ部のメンバーと戯れている顔くらいしか知らない
付き合ったばっかだし
名前を呼んだだけで、何も言いださない俺に白石さんは首を傾げていた
「切原クン?」
そういえば、白石さんは一度だけ俺を名前で呼んだ事があった
あの時は正気じゃなかったしこんな気持ちは持ってなかったけど、思い出したらなんだか幸せな気持ちになってしまって
だから、
「蔵ノ介さん」
アンタも同じ気持ちになったりしねーかな、なんて
「っ、」
白石さんは、何も言わなくて
でもその顔が
今まで見たことないくらいに、深い愛情を湛えた笑顔だったから
アンタの好きが伝わっちまって
俺は顔から火が出そうだ
「どないしたんや急にそんな、誕生日でもないのにあんまり俺のこと喜ばせんとってぇな」
「ぅ、え、はい」
「なんやかわえぇなぁやっぱり、赤也クンは」
そう言っていつもの余裕の笑顔をした彼に
もう俺は顔どころじゃなく頭の中まで真っ赤だ
「顔が真っ赤やで?林檎みたいにかわえぇ悪魔やな」
あぁいつか、アンタのことも赤く染めてやる!
+++*
赤面的な意味で。
白赤の白石は照れて赤面はしない気がする。照れるようなことや歯の浮くような言葉も全部ただただ幸せなこととして受け取って超幸せそうに笑ってほしい。
突発すぎて前後関係が謎。