彼氏になんてあげない！(光謙←蔵？白石語り)
「おいコラ何さらしとんじゃワレ」
「ざざざざ財前落ち着きやっ！」
「黙っててください」
「…あ、ハイ」
俺は今絶頂を感じている
数日前、
「は？」
謙也はほんのり頬を染めながら俺の問いに対してさも訳が分からないと言う風に声を発した
「せやから、財前とはもうキスしたんかって」
「お、お前に関係ないやろ！」
「その反応はまだやな」
「うっ」
こういう時、謙也の嘘の吐けない性格はわかりやすくて助かった
そして何故俺がこんなことを気にするのかというと、大好きな親友のファーストキスを奪われたくないから、なんやけど
あ、今引いたやろ
や、ちゃうねん、なんていうか
「白石ほんまキモいから帰らせて」
「なんでやユウジ！」
「意味わからへんからほんま」
「せやかて俺が今までずっっっっっと守りぬいた謙也やで？！俺より先に財前がキスするとかない、ないわ！」
「………………」
「それにや、悔しがる財前見たいし」
「白石…」
「ん？」
「今からでも遅ないから謙也と違うクラスなれや」
「嫌やし無理やろ」
まったく、なんでユウジはわかってくれへんねん！
俺はただただ謙也が純粋に愛しくて
親心のような気持ちでファーストキスを奪いたいだけなんやで
あとはまぁ、
財前が悔しがるとこを見たいだけ
そして見事財前の目の前で謙也のファーストキスを奪うことに成功し、冒頭に至る
「白石部長、一体どういうつもりか教えてもらいましょか？」
財前から滲み出る殺気も何のその、とりあえず俺は現状に満足やった
「どういうつもりも何も、ただ謙也のファーストキス奪いたかっただけや」
「それをどういうつもりや言うとんねん」
謙也は涙目でぴるぴる震えていてとんでもなく可愛い
ひたすら可愛い
「せやかてほんま、ただそんだけやし、あ、あと」
「あと？」
「悔しがる財前が見たかった」
と、ここで初めて俺は財前の殺気のおぞましさに気が付いた
「はは…そうっすか」
怖い！財前の笑顔！めっちゃ怖い！
「せやったら残念やったなぁ俺は悔しいんやなくてキレとんねん」
「あ、でもな、俺あれやでファーストキスって名目が欲しかっただけやで？せやから全然感情込めたキスしたわけちゃうし恋人からのファーストキスは財前しかできへんで？」
あ、財前の殺気がちょっとおさまったで！
もう一息や！
「それに財前が謙也から奪えるもんは、…仰山あるやろ？悔しいけど俺は形だけのファーストキスしか奪えへんねん」
「…」
「えぇこと教えたるわ財前」
「…なんすか」
突然怒りオーラを消した財前を謙也はきょとんと見ていた
堪忍な謙也！俺さすがにお前のために死ぬことはできんのや！
「謙也、童貞処女やし運良くこないだの性教育休んだからキス以上のことわかってへんねん、せやからしっかり性調教できるで、あ、教育の間違いやったわ〜…な？堪忍してぇな」
謙也には聞こえないように財前に耳打ち中や
ちなみに謙也はキスもバードキスしか知らへんで！
「…部長、もうえぇっすわ、今回は許したります」
「お、ほんま？」
「せやけどこれっきりなんで」
「わかっとるわかっとるー言うたやろ？形だけのファーストキスが奪いたかっただけやって、な？」
「え、あ、財前？白石？」
いまいち状況が掴めてない謙也はおろおろと俺と財前を交互に見ていた
はぁまったく可愛ぇなぁ謙也は
「大丈夫やで謙也！急にすまんかったな」
「ぇ？あ、おん」
「ほな財前、」
「はよ帰ってください」
「冷たいやっちゃなぁ」
「もう一度言いますけど、二度目はないですから」
「セカンドは別に興味無いわ〜あとはまぁ財前の好きにしてや、ほなまたな謙也！」
あんじょう気張りや！
「っていうことがあってん」
「謙也が可哀想ばい」
「ん〜？でも財前色に染められる絶好のチャンスやん？」
「白石はほなこつズレとうね」
「どこがやねん、親友の恋路を応援してんねんで！」
「はいはい」
「なんや千歳！言いたいことあるんやったら誤魔化すなや！」
「白石ばむぞか思っただけたい、しいとるよ」
「っ…そんなんで誤魔化されへんで」
「ほんなごと思っちる」
「あーもう！わかったわもうえぇ！」
「はは、白石照れとる」
+++*
え？……………え？
ただただ謙也のファーストキスが奪いたかっただけの白石。
本気で他意はない。
あと謙也が財前に開発されるのが楽しみ←
下ネタと性行為には羞恥心がないのに好きとか可愛いとか言われると照れる意味わからない感じな白石が私は好きです。
あ、ちなみにちとくら！←
千歳もズレてるのと白石と謙也だしっていう意味わからん認識で特に気にしない。