「なぁ、お前が好きすぎて死にそうなんだけどどうすればいいと思う?」
「死ねばいいと思う」
真剣に考えて名前に問いかけたらひどく突っぱねられた。心外だ。こっちは真面目に考えているんだぞ!
「なあ名前」
「何ですか嫌ですよ」
「俺まだ何も言ってないんだけど!」
「何ですか」
「俺のことどう思う」
「ウザいキモいウザい」
「おいいいい!!なんでウザい二回も言ったんだよ!!」
「大事な事だったので」
さも当然だというようにさらりと言ってのけた名前に俺の心は打ちのめされた。
「俺のガラスのハートがボロボロになっただろうが…」
「うわあキモい、あ、間違えたキモい」
「変わってないから!言い直さなくていいから!」
「え?じゃあ気持ち悪い」
「さらに抉るなよおおおおお!!!!」
「ああもう、うるさいなあ、いい加減書類整理してくださいよ。颯斗君に怒られたら一樹先輩のせいですからねこのハゲ」
「おいコラさらりとハゲとか言うな!俺はハゲじゃねぇ!」
「あー、はいはい」
適当な返事をして、書類に目を通す名前に倣って俺も書類に目を――
「ってよくない!」
「今度は何ですか」
「名前!俺はお前が好きなんだよ!」
「だから?」
「俺と付き合え!」
「だが断る」
今度こそ俺の心は砕け散った。木っ端微塵に。
「そういう告白はもっと可愛い子にするべきですよ。月子とか月子とか月子とか」
「月子しかいねぇ!…つか何でここで月子がでてくるんだ」
「だって月子可愛いじゃないですか」
お前だって可愛いだろ、と言うと、お世辞有難うございます、と軽く受け流されて少なからずムッとした。お世辞じゃない。俺の本心だ。お前はもっと自分が可愛いって事を自覚してもいいんじゃないか?そんなんわかんないって?じゃあ俺がわからせてやるよ。
俺は名前の手を掴んで引き寄せ、名前の額にちゅ、とリップノイズをたてて口づける。そしてびくりと肩を跳ねさせ固まった名前を覗き込んで俺は唖然とした。
「…っ!」
「え、――ってぇ!!」
まじまじと名前の顔を見つめていると、名前は手に持っていたファイルで俺の頭をすぱーん!と叩いた。地味に痛い。
「…っ、見ないで…!」
挙げ句、名前はファイルで顔を見られないようにと隠す。でもファイルで隠す前の顔は、耳まで真っ赤だったのを俺はバッチリ目撃したから、今更隠したって意味がないのに。
それより、
なぁ、そんな反応するってことは、少しくらい期待してもいのか?
―――
うーん、スランプだ
20111117
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