片思いチョコレート
今日は、秘密のミッション。
あの人に渡すだけなのに、他人に見られるのは恥ずかしい。

「(何故…こんな僅かな距離なのに私はこんなにも隠れ続けているのかしら。)」

…実のところ彼が好きだというのは自覚してはいるのだが、未だ伝えられていない。

「(他の皆には…渡したのに…)」

…とにかく、当たって砕けろだ。渡さなければ始まらない。

「あ… ロックオン…」
「ん?どうした?」

私は思い切って、チョコの包みを渡した。

「おー、チョコか。ありがとうな。」
「う、うん… 上手く出来ている自信は…無いけれど…」

足元にはハロが居た。

「チョコ?チョコ?」
「ハロちゃんにもチョコあげたいけれど… お菓子、食べられないもんね。」
「そうだな〜、ちょっと残念だよな。」

ハロを見つめていたら、頭を撫でられた。

「……!」
「お、なかなか可愛い顔するようになったな…」
「そう…かな?」
「ああ、そうだよ。」

また撫でられたと思ったら、『ん、そうだ。』と、彼はポケットから包みを出した。

「これ、スピカに。」
「わ、私に…? ありがとう…」
「皆には内緒な?」

何故?と思ったけれど、言われたからには内緒にしておく。
だから、私もチョコに手紙を添えてある事は言わないでおこう。

「これ、美味しく頂くよ。」

彼の嬉しそうな顔が焼き付いて、頭から離れない。
そのせいか、その日の夜はとても寝付ける状況ではなかった…

(ドキドキしすぎて…駄目…)

その思いに気付く日はいつだろうとしても、待つことしか出来ない。

13.02.15
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