甘いキスに必要なのはチョコを渡す勇気
既に幾度も二人きりになる機会を重ねているはず…なのに、チョコレート一つ渡すのに緊張してしまい、今に至る。

「(渡すだけなのに…)」

どうしたら良いか分からない。
チョコを抱えながら右往左往していると…

「どうした…?」

彼がそこに居た。

「え、あ… 刹那、これっ…!」

押し付けるように渡して慌てて逃げるように立ち去ってしまった。

「(私ったら、何してるの…!)」

直ぐさま彼の様子を窺った。

「…………」
「よう、どうした刹那。そんなところで突っ立って…」
「アリエスにバレンタインチョコを貰ったのだが…礼を言おうとしたら、慌てて逃げられた…」
「そりゃあなお前…あいつからしたら照れくさかったんだよ。」

…後で、彼のもとに行かなければならないがやはりロックオンの言う通り照れくさくてしょうがない。

「…礼言うならチョコ食べた後にして、ついでに甘いキスでもしておいてやれよ。」

…動揺して危うく声を上げてしまう所だった。
こっそりと部屋に戻って、ベッドに突っ伏した。

「うぅぅ…」

何故あそこで逃げ出してしまったんだ、と自分を責めていた。

「後で、謝らないと…」
「アリエス、ドキドキ?ドキドキ?」
「ドキドキしすぎて気絶しそう…」

ハロをつついていたら…

「スピカ…」
「…!」

慌てて起き上がると、刹那が居た。

「すまない、唐突に…」
「わ、わ…私の方こそごめんね… 本当に、唐突にあんなことしちゃって…」

彼は微笑みながら髪を撫でて、こう言った。

「…勇気を出して、俺に渡してくれたんだろう? ありがとう、スピカ…」

そう言うと、突然唇が重なった。

「……!」
「…あのケーキ、とても美味だった。また、機会があるなら食べてみたいな…」

キスされた直後、何故か私はくらくらして、倒れかかってしまった。
しかも、倒れかかった所が彼の腕の中というおまけ付で気が遠くなったのだった…

(…!? 大丈夫か!?)
(だ、大丈夫…)

運が悪いような、良いような、そんな曖昧な気持ちで。

13.02.08
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