「スピカ、これやるよ。」
唐突に、瓶詰めのキャンディを貰った。
「え…あ、ありがとう…」
とても嬉しくて、いつまでも取っておきたい。
「スピカ、どうかした?」
「ん…あ、ロックオンに…これをもらったけれど… どうやって取っておこうかなって…」
「うーん…飴っていつまでも取っておけないから、食べ終わったらその瓶に大事なものを詰めておくのはどう?」
「大事な、もの…」
…今はまだ、大事なものは無い。
だからじっくり食べてから考えていこうと思う。
「ふふっ…可愛いこと考えるんだな…」
「そうねぇ…」
武力介入が始まってからも思い出を積み重ねて、6年…
「これは…ハロちゃんみたいってクリスから貰ったヘアゴム…これは、ミッション先で拾った貝殻…」
瓶の中身はどんどん満たされて、今では中身が誰に貰ったものなのか思い出せるくらい。
一つでは収まらず、クリスからも瓶を貰ったのを覚えている。
「思い出はいっぱいだけど… 会えないのは、寂しいね…」
「サミシイ?サミシイ?」
「うん…」
補給物資の中にあったキャンディを貰って食べていたが、思い出すのは彼らのこと。
そう、この瓶の中に思い出を詰めるきっかけにもなったから。
「少しだけ…思い出に浸っても良いかな…」
…私は今でも彼の事が好きで、考えすぎて夢にも出て来てしまうくらい。
『…どうした?また、寂しくなったのか? しょうがないなー…』
夢で会うと、よく肩を抱き寄せてくれる。
今日は、バレンタインのお返しだなんて言って膝の上に乗せてくれた。
『そうそう!不安な時は、私達が付いてるって思いだして?』
『クリスの言う通りっすよ。』
『無理しすぎる必要なんてない…無理は心も身体も壊してしまうぞ。』
…モレノさんに、クリスとリヒティまで。
何故なんだろう?私には分からないけれど…
『思い出に浸りたかったんじゃない?』
…言われてみればそうだった。
何故私は眠ってしまっていたんだろうか…それはもう、求めないことにしよう。
目が覚めればまたミッションの日々だけれど…また頑張る事が出来そうだ。
キャンディボトルに思い出を詰めて
(皆…私はまた、頑張れそうだよ…)
ホワイトデーの贈り物は、友の支え。
13.03.17