…目が覚めたら、誰かに手を握られていた。部屋は暗く、モニターの光だけが点いていた。
眠い目を擦りながら辺りを見渡したら、君が居た。
「君か…」
「やだ、ここには私とあなた以外居ないよ?」
君はそう言って笑っていた。ここには君と僕しか居ない。
「そんなことより…君が手を握っていてくれるのは嬉しいが、その体勢だと君が風邪を引く。」
君はベッドに肘を付いた状態で床に座っていた。
「ああ…ティエリアの寝顔見てたらね、気が付いたら手握ったまま寝ていたの…」
苦笑いしながら君は言う。
「…おいで、」
一瞬手が離れた隙に抱き上げて、二人でベッドに入る。
「わっ…」
「今更君がそうやって距離を置く必要なんてどこにもない。」
そう言ってぎゅっと抱きしめた。
「ああ…やっぱり君だ。」
「…どうしたの?寝ぼけてる?」
「…夢から覚めたばかりなんだ、もっと君を感じさせてくれ。」
抱きしめても足りないから、そっとキスを。
「君の心も、身体も…もとい、その魂ごと抱きしめていたいな…」
例え時が過ぎ去っても君への思いは変わらない。
そう、僕が君を忘れてしまわない限り、ずっとだ。
長い夢から目覚めて
(…優しい夜明けが来る時は、そっと君の事を想う。)
二人の心に、そっと赤い糸を。
12.12.9
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(後書き)
ティエのゆる甘いの書きたい!とか思ってたらこんな事になってました。
ゆる甘いじゃなくてもはやベタ甘いですね。すみません。
一応短編集ですが、微妙に話繋げてあります。
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