整備をしている彼女の様子を見に行こうと思ったら、整備を終えて疲れたのか壁に寄りかかって眠っていた。
「(起こすべきか…?)」
いや、彼女は疲れているだろう。起こしたら申し訳ない気がする。
だが、身体を冷やす訳にはいかない。
「(いっそのこと、部屋に…?)」
抱きかかえて部屋に連れて行くのも考えたが、誰かに見られた時の反応に困る。
「………」
悩んだ末に、上着を掛けた。
そっと髪を撫でて、彼女の事を見守ることにした。
「(しかし、よく眠ってる…)」
彼女の寝顔はこうしてじっくりと見た事が無い。
こうして見ると、戦っているとは思えないくらいに可憐だ。
…それから1時間ほどが経過しただろうか。
彼女は未だに起きない。
しかも、彼女の身体は徐々に傾いている。
「ふ…ぁ…」
船漕いだと思ったら、そのまま倒れた。
彼女の頭は、俺の膝の上に乗っている。つまりこれは…
「な…!?」
これは役得というべきか、タイミングが悪すぎるというべきか。
俺はどうしたらいいか分からずに困惑していた。
「(起こせない…)」
だが、彼女の寝顔の魅力にだけはどうしても勝てなかったことは分かった。
眠り姫に惑わされて
(あっはっはっはっ…不器用なやつ…!)
(刹那も女の子相手だとタジタジだね。)
(彼らしいとも言えるな…)
腕に抱いている姿を観察されている事すらも知らずにほんの少しの幸せな時を。
(展示期間:12.10.14-13.01.07)