甘やかなハグをして

後ろからちょこちょこ付いてきて、今日は甘えたがりなのかな。

この間は、僕が少しやりすぎて逃げ出しちゃったのに。

裾をちょこんと掴まれたので、振り向いた。


「どうしたんだい…?」

「…少し…寂しいような、悲しいような気分になって…」


この頃、カタロン基地襲撃やブレイクピラー事件などで組織には重々しい空気が流れている。

どこに居ても、その重さに押しつぶされそうな程に辛いのだろう。


「…おいで、」

「うん…」

「…甘えていいんだよ。」


膝に乗せるために抱き上げてみたら、重々しい空気とは反して軽々と持ち上がる君の身体。

不摂生が祟ってさらに体重が落ちているような気がした。


「…温かい?」


黙ったまま頷く。


「…辛いね。」

「でも…悲しんでいられない…」


それは、使命感なのかな。強がりなのかな。

どちらにしても、君は一人では重圧には耐えられないだろう。


「一人じゃないよ… 僕が手を握っているから…」


泣いたっていいんだよ。これからの君の笑顔の糧になるのなら。

そう何も言わずにきゅうきゅうになるくらい抱きしめる。


何も言わなくても、ただ温もりがそこにある。それだけで、心は満たされていく。

君はその幸せを誰よりも知っている。だから尚更優しく抱きしめていたい。

単に君が、愛の言葉を持ち合わせていないだけなのかもしれないけれど、それでもいい。


「アレルヤは、嬉しい…?」


君が言いたいのは、こうして一緒に居ることが…ということだろう。


「ああ…嬉しいよ。」

「ん… ありがとう…」

「ん、そうだ…目を瞑って?」

「え…?」


雰囲気に任せて、さり気なくこの間のお詫びのキスを。

…少し涙混じりに照れくさそうにしている。今はそれでもいいんだ。

いつかは、君の一番の笑顔を見てみたいな…


(…君ってば、本当に可愛い。)

こんなに甘やかなハグなら、毎日でもしていたい。
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