僕は一人でいることには慣れている。
それに関しては君も同様だろう。
だが僕たちは、二人で居ることにも慣れた。
二人で幸せと温もりを享受した。愛や優しさに触れた。
そんな中で、すれ違ってしまったらどうなるだろうか?
『ティエリア…』
「ああ、スピカ…」
…ヴェーダの向こうに、君の憂いの表情が見える。
身体を失った僕の事を一番に悲しんでいたのを覚えている。
「すまない…君に、寂しい顔をさせてしまって…」
こうして二人だけの場を設ける事は出来る。
だが二人でいることも、触れることもできない。
「…身体を失っても、君のことを見守っていられるのはいい… だが、君に触れられないのは…」
『辛いのは分かってる…でも、私だって…』
「…すまない…」
『謝らなくていいの…私だって、あなたの隣にいられないのは辛い… …仮眠を取らなくちゃいけないから、行ってくるね。』
「ああ…おやすみ、スピカ…」
こうしていると、君が眠っている間は孤独になってしまう。
肉体が有るなら、君を抱き寄せられるのに。そう嘆いても、君には届かない。
来るべき対話が来たら、僕達は更に離れ離れになってしまうのだろうか。
もしかしたら僕が居ない間に、君の長い夢は醒めてしまうかもしれない。
僕達の敵は、何よりも孤独だ。
だが今は、甘い夢の中にいる君を思い出すことしか出来ない…
alone is my enemy!
(…隣に居られないことがどんなに辛いかは君にも分かるはずだ… だが、君のことを思うと…僕は、尚更…)
二人で居ることを知ると、再び一人になったときに二人だったときのことを思い出して感傷的になる。