普段は絶妙なバランスで抱き合える。
「温かいか? …そうか…」
こうしている時だけは、整備に忙しい君も大人しくなる時間だ。
だが、 時にはそうもいかないこともある。
それはアロウズとの戦いの時の話。
ブリーフィングルームで話していた時のことだ。
「きゃっ…!」
「敵襲!?」
転びかけた彼女を受け止めたら抱きしめている構図になっていた。
「大丈夫か?」
「うんっ…」
あの時は直後だけは内心幸運ではあったが…
「大丈夫か?」
「え、えぇ… 私は砲撃に向かうわ…」
そう言ってブリーフィングルームを後にしていたその足は、引き摺っていた。
後に調べた結果足を挫いていて、とてつもなく心配したことを覚えている。
「…あの時は心配したぞ。」
「…ごめん。」
「だが、やはり抱きしめるならこうしてゆったりとした時が一番だ…」
「うん…」
アンバランスな抱擁も時にはいいが、君に危険が及んではいけない。
だから、こうして安定した状態での抱擁が一番だ。
「ティエリア…」
「っ…!」
不意打ちのキスをされてしまった。
君は、いつから攻めるようになったのだろうか?それも嬉しいが、まだ甘い。
un-balance embrace
(スピカ…)
(…!!)
抱きあうことで幸福感が生まれ、キスを交わすことで愛を再認識する。