怠惰に沈みながら
ここはベッドの海。海と比喩するが、背にあるのは純白。
だが、どちらにせよ沈むことには変わりはしない。

「ティエリア…?」
「…何も言わずに、こっちに来てくれ。」
「……?」

僕は早く君を抱きしめたい。だから、君も躊躇わずに歩み寄って、僕の腕の中に収まればいい。

「スピカ… スピカ…」

求めているかのように何度も、君の名を呼ぶ。口付けをそっとしてみたり、後ろに回した腕で体躯を撫でまわしてみたりもする。

「あ…ぅ…何するのっ…」
「ただ君を愛でたいだけだ…」

そう言って眼帯を外し、リボンを解いた。遮るものも、躊躇う必要も、そんなものはいらない。この場所では、結いた髪も解いて素のままの君でいてほしい。

「…私も、する…」
「いいんだ…今は僕が一方的に君にしたい…」

それならせめて、と僕の主張を遮って唇を重ねていた。

「…っ…! 欲張りな子だ…」

腕に抱いて、ベッドの上に縫い付けるように繋ぎ止める。
君は驚くだろう。だが、時が経てばいつものように怠惰に寝転がる二人がいる。

「そんなに欲しいなら…その分僕がくれてやろう…」
「…ん、ぅ…」

口付けで言葉を飲み込んで、触れ合うことだけを考える。ただそれだけでいい。
ああ、可愛らしい。声も、仕草も、少し照れるその表情も。
甘い声は、どんな言葉を漏らしてくれるのだろうか。それを考えると尚更燃えてくる。

今の君は普段よりも僕に甘えてきている。

「…そういう甘えた姿を見せるのは僕だけにしろ。」
「解ってる…むしろこんなところ、あなたにしか見せられない…」

だって、恥ずかしいじゃない。弱さも甘えも露呈させてしまうなんて。
君はそう言ってシーツで顔を隠すが、僕はそれを阻止する。

「隠さなくていいだろう、ここには僕しか居ないのだから。」

シーツを払うと、顔を紅くした君が照れくさそうに体を丸めている。
そんな風に抗っても可愛いだけだというのに。 僕は君に対して理性を失いそうになってしまうというのに…何故それがわからないんだ。お仕置きとばかりにしっかりと抱き寄せて、また唇を重ねる。口の中に何とも言えない甘さが広がって、心なしか興奮してしまう。

「…ね、ティエリア…」

どうした、まだ欲しいのか?そう聞いてみる。

「本当はもう少し…欲しいけれど… 今夜は遅いから…」
「…そうだな、続きは…夢の中でしよう。」

君が求めるなら、眠る時も共に在ろう。朝も昼も夜も、手を握りながら抱擁と甘い口付けを与えていたい。それだけで、僕は満たされた気持ちになっていくのだから…と、君の手を握りながら目を閉じたのだった。

(スピカ…人というは、あたたかいな… こんなにも、単純な行為なのに…気持ちが満たされていくんだ…)

ティエリアとベッドでいちゃらぶ。二人にとっては不純な行為抜きでも触れ合うだけで幸せなのです(※不純な行為知らないから)
皆には内緒ではあるけれど、きっと部屋から出てくる時幸せそうな顔してるからすぐバレるでしょうね。
正直筆者は、以前書いた拍手お礼のネタみたく、両手離しでいちゃらぶしてるのが好きです。

14.2.18


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