ティエリアが経済界のパーティーに潜入調査することになった。
で、スメラギさんの発案により女装することになったのだが…
「アーデさん素敵ですぅー!」
「すごい…」
赤いドレスが良く似合っていた。
こんなこと、実際に言ったら怒られるだろうけれど。
「私には似合わないから…ちょっと尊敬する…」
「…非常に複雑な気分なのだが。」
その数ヶ月後…
「アーデさんの女装、すごく似合ってたですぅ〜。」
「あ、あの話はもう止してくれっ…」
私が着て、彼の前に出たらどうなるだろう。何故かそういうことを考えていた。
で、こっそりスメラギさんに言ってみたら…
「スピカがドレスを…?」
「…それで、ティエリアの前に出てみたいなって…」
「あらあら…でも、ちょっと面白そうね…」
こうして数日を掛けて、内緒の作戦は始まった。
「とっても良く似合うわ。」
「そう…?」
着せられたのは、膝丈の真っ赤なドレス。手直しも考えたらしいが、長いのより膝丈の方が似合うと言われたのでこのドレスだ。
何故かスメラギさんがノリノリでメイクやらを施していた。
その後は、私はブリーフィングルームで待機。ブリーフィングルームに向かう途中ですれ違ったロックオンからは『舞踏会にでも行くのか?』と言われてしまって返答に困ったが。
「(うぅ…緊張する…)」
ブリーフィングルームのドアが突然開いた。
「あ…」
「ああ、スピカ…君か… …!?」
若干動揺しながら歩み寄ってきた。
私がこんな華美な服装をしているからだろうか。
「どうした、その格好…」
『私が着てみたらどうかなって思って… どう…?」
彼はくすっと笑いながら髪をそっと撫でた。
彼が嬉しそうな顔をするから、つい頬が緩む。
「似合うな… …そういうドレスは、僕なんかより君の方が似合うとずっと思っていた。」
「え…?」
あまりにも唐突で私まで動揺してしてしまった。
だが彼は、世辞ではなく事実だと言う。
「あ…ありがとう… っ…!」
かしずいて手を取ったと思ったら、手の甲にキスをされた。
それから、端末を取り出したと思ったらクラシック音楽を再生していた。
「レディ、1曲如何ですか?」
彼が照れながら言う。その頬は、少し紅かった。
「はい…!」
社交ダンスなんて、踊ったこと無い筈なのに。
でも、彼がちゃんとリードしてくれていたから、怖くなんてなかった。
「いつか君を、エスコートしたいな…」
音楽が止んで、告げられたこと。
…エスコートだなんて、照れくさい。そう思いつつも嬉しかった。
「…本当に素敵だ。」
抱き寄せられてそっと目を瞑れば、いつもしている優しい感触。
でも、今日だけは唇に淡いピンクのルージュ。だからちょっと特別。
「鮮やかな色も似合うが…君には、純白のドレスが良いだろうか…きっと似合うと思う。」
純白のドレスの意味は分からなかったけれど、お返しにこう言ってあげた。
「…今度はティエリアも、ドレスじゃなくて…格好いい姿、見せて欲しいな…」
「ああ…約束しよう… だが、今回の君も記録に収めておかなければ。」
「あ…!」
彼に写真を撮られてしまったけれど、これは二人だけの内緒話。
シークレット・エスコート・プロミス
(…純白のドレスの意味…君は、分かっているだろうか? でも、今はそれでいいか。)
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[after:素敵な夜の後は]
『ありがとう、スピカ…今夜は、素敵な夢が見られそうだ。』
『上手く行ったようね、あの子。』
『しっかし、あんな唐突にドレスを着せるなんてまた潜入ミッションかと思っちまったじゃねぇか。』
『あら、本人にとっては重要なミッションよ。』
『乙女のロマン溢れるミッションですぅ〜!』
『…よくわかんねぇな。』
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彼女がドレスに着替えたら、というネタ。ティエには王子様っぽくなって頂きました。
白馬の王子様なんて信じてないけれど、目の前に居るガンダムに乗った王子様の事は信じてます。こんなの、ラッセには理解しがたいでしょうがね。
純白のドレスの意味?もちろんあれです。
13.11.09