優しいだけじゃ、駄目なんだ。
最近、そんな気がする。
「…スピカ、」
「…?」
君はマイスターとして強くあろうとはするけれど、やはりか弱い。
「…! どうしたの…?」
「…無理、してない?」
「え…」
何故か動揺している。
「してないよ…大丈夫…」
そう、笑いながら君は言う。
「…本当に?」
疑いたくないのに、疑ってしまう。
胸が苦しくなる矛盾に、言葉に詰まってしまう。
「………」
「……」
どうやら、君の心の仮面を外せていないようだ。
この仮面を外すのは至難の業だ。
「…君は、強情だね。」
「…そうでなければ、戦場で生き残れないわ。」
それほどまでに、自分が荒んでいるのを認めたくないのだろうか。
もしくは、自分が荒んでいく哀しみを話せずにいるのだろうか。
どちらにしても、その思いを抱え込んで生きるのは、あまりにも辛すぎる。
「…それでも、思いを一人で抱え込んで生きるのは、辛すぎるよ。」
誰かに伝え、理解し合って、初めてその辛さから解放されるのだから。
「それなら… 私と…分かり合おうと、してくれる…?」
…君がそういう事を言ってくれるなんて。
いつの間にか成長していたんだね。そう笑いながら、君の成長に喜びを感じていた。
「…ああ、勿論。」
そう肯定して、そっと髪を撫でてみると…頑なだった表情が緩んで、涙を溢れさせていた。
「…そんなに嬉しいかい?」
「うん…すごく…」
「そっか…」
僕も、とても嬉しいよ。
そう言って、抱きしめる。
「…どうしてっ…涙、止まらなくて…」
「そこは素直で良いんだよ…」
最初はどこかズレていると思っていたけれど、今ではそれがとても愛おしく思える。
そっと手を重ね、身を重ね、心を重ねる。重なっていくと、優しい音がする。
「あのね… アレルヤ…」
「…どうしたんだい。」
耳元をくすぐる君の声がする。
「…だいすき。」
…君がそう言うとは、わかっていた。
だから僕も、そっと耳元で言うのさ。
「…ありがとう。」
「うん…」
…君は上目遣い。やっぱり、言って欲しいのかな。
「…僕も、大好き。」
照れくさいけれど、言葉にした時の君の表情が嬉しくて。
たったそれだけで、この心は満たされていく。
…君を満たすのは優しさだけじゃなくて、分かり合う気持ちと思いの強さだと思う。
I want…
(君が僕を求めるなら、僕も、それ以上に君を求める。)
アレルヤと微甘。一応20歳設定。
彼女は単純な愛よりも強固な愛が欲しい、といったスタンス。
分かり合うことを意識しだしたのは、刹那の変革がきっかけといったところです。
心の仮面という言葉に関してはマスカレードという曲(某マイク破壊声優が主演でお馴染みのアレです)を聞いて参考にしました。
13.09.23