西暦2305年。
ソレスタルビーイングに、新しいクルーがスカウトされる。
「どんな奴なんだろうな…」
端末のパネルには白髪の少女の写真と経歴。
12歳の子供が背負うにはとてつもない業ばかりだ。
「ヴェーダによれば、超兵の少女らしいわ。実戦経験も有って、戦闘技術もあるけれど…」
スメラギが言葉を詰まらせた。
「本来はマイスター候補としてスカウトされるはずだったけれど…直前に起こった事故による記憶喪失で、刷り込まれた以外のことを覚えていないの。」
「…つまり、リセットされたってことか。」
「孤児である彼女を保護したいと掛け合った結果、ヴェーダは代替プランとしてマイスター候補生かクルーとしての育成を推奨したわ。」
…怪我の回復を待って、能力テストをした後に彼女の選択を尊重する方針を取ったらしい。
「で…イアンとモレノ医師に相談してみたんだけど…」
また言葉を詰まらせる。
「……さっきからあの状態なの。」
指さした先で二人は睨み合ったままだ。
…彼女の選択を尊重すると言っていたのを、忘れたのだろうかそもそも聞いてないのだろうか。
とてつもない殺気でそれを言える空気ではない。
その数日後…
「…さて、結果が出たけれど… 多少の障害はあれど、訓練次第でどちらの道にも歩ませられるみたい。」
彼女のコードネームも決まり、能力テストの結果も出た。知識面では教育が必要らしいが、知能でカバーが出来るので問題は無い。
ティエリアはテストの結果を見てスカウトされるだけの資質はあると何かいけ好かない台詞だったが。
「…専門的な知識よりも、まず学問を身につけさせてあげないといけないけれどね。」
物覚えも問題なく、色々と学んでいるらしい…が、何がどうなってそうなったかはわからないが美術方面に興味があるらしい。
「シェリリンも技術の道に進んだんだ、今度はスピカを医療の道にだな…!」
「MSのメンテナンスにも人員が必要なんだ!」
…で、あの二人はまだ言い争っている。
スピカはそんなことなど気にせずハロの挙動を観察している。
「直接本人に聞いてみればいいだろう!
「言われなくてもそうするつもりだ!」
…名前を呼んでおやっさんとモレノさんが振り向いた後には、当の彼女は既にどこかに行っていた。
刹那と共にブリーフィングルームに集合と予定があってそれに行ったか、ハロを追いかけていったのかもしれない。
「…二人共、あの子に唐突に聞いてもよくわからないと思うわよ…?」
…結局、基礎的な医療と技術を学ばせるという結論にまとまった。
これは余談だが…
「ハロ♪ ハロ♪」
彼女がメカに興味を持ったかは定かではないが、ハロを気に入っていた。
「ハロ…友だち…」
「お?良かったなー。」
それどころか、既に友達になっていてこっちが驚いた。
彼女の後ろをハロが複数並んで跳ねたり転がったりして付いていく姿は見ていて可愛い。
フューチャー・プランは波瀾万丈
(何ていうか小動物系よねー。)
(何言ってんすか…)
CB加入直後のエピソード。
武力介入前の教育方針の話であり、単純に大人げないイアンさんとモレノさんが書きたかっただけ。
タイトルに関しては決めるまでが波瀾万丈という意味で。
クルーたちによって色々知っていく中で、リヒティあたりがふざけて妙なこと教えて皆から〆られるのも書きたい次第です。
13.08.13