Aggressive-Princess Hug&Sympathetic Hug
現在グリニッジ標準時では午後2時。
漸く一息ついてコーヒーを一口啜りながら、一人ほっとしながらハロと話をしていた頃…

「ぶーりょくかいにゅ〜♪」

…平和な時間を崩す声。猛烈に嫌な予感がしていた。
アレルヤは優しくて好きなのだが…ハレルヤは私のペースを一気に奪ってしまうので扱いに困る。

ハロと端末を抱えるも、隠れられるところがない。

「(とりあえず動かないでおこう…!)」

が、予想外の所でバレる。

「アリエス?アリエス?」
「は、ハロっ…!」

動揺した隙に後ろから。

「わっ、わぁっ!?」
「つっかまーえたー。 ったく、鈍いんだよお前は。」

後ろから抱き上げられた。
ハロと端末を抱えているのに軽々と。

「うぉ、軽っ…毎度のことだけどよ…」

…背中と膝に腕を、と言った感じの横抱き。
何の意味があるのだろうか。一番安定するからだろうか?

「さーて、どうすっかね…」
「え…」

彼の目は怪しい。笑っているというかなにか企んでいるというか。

「…たっぷり遊ばせてもらおうか?」
「…そ、それは私で?!」

動揺して口走ってしまった。

「おうよ、それ以外何があるってんだよ。」

予想していた通りの当然といった回答が返ってきた。

「私これから機体の調整が…」

と、事実を述べたのにもかかわらず、ハレルヤの進路は格納庫とは逆。

「(は、ハロも何か言って…!!)」
「ハコバレル ハコバレル ドコヘ?ドコヘ?」

…まるで役に立っていない。私のハロは天然なのだろうか。
予定が…というよりも、この状況を誰かに見られることのほうが苦痛だ。

「あ…」

刹那がとてつもなく申し訳ない目でこっちを見ている。

「せ、刹那っ…これは…!」
「放っとけ放っとけ。」

「す、すまない……」

そしてそのまま、進路変更をしてしまった。
わたわたしていてたら、更に…

「よー、アレルヤにお姫様抱っこなんて愛されてんなー。」
「(ハレルヤだってば…!気付いてよ…!!)」

刹那から話を聞いたか、気まずい顔した刹那が道を戻ってきたところを見たであろうロックオンからひやかされた。
何をどうしたらそうなる、と突っ込みたくなったが、彼がハレルヤの事を知らないを忘れていたことを思い出して言えなかった。

「わー、アリエスさんお姫様抱っこですぅ〜!」
「…!?」

このトレミーの中で一番この状況を見られたくない相手に見られてしまった。

「え…っと…」
「ハプティズムさんが逞しい人だから、余裕そうですぅ。」
「おうよ。」

…そんなことよりも私はさっきからロックオンやミレイナの言うお姫様抱っこという単語が気になっていた。

「あの…"お姫様抱っこ"って…」
「読んで字の如しですぅ!」

…こんな私が姫?それはありえない。

「そーゆー事。だからこのまま大人しく運ばれろってこと。」
「え…あのっ…」
「調整はプラン通りやっておくですぅ〜!」
「ちょ、ちょっとっ…!?」
「頑張れよ〜。」
「な、何を!?」

…もう訳がわからない。

なんだかんだ言って、部屋に着いた。
何をされるのだ私は、そう疑問に思っていた矢先…

「あ?何だよ…ようやく連れて来られたってのに…」
『(彼女には自分のやらなくちゃいけないことがあるだろう?なのに無理やり連れてくるのは可哀想だよ…)』
「んだよ…俺だって2年ぶりの再会だっつーのに…」

アレルヤと話していたようだが、どうやら萎えたらしい…が…

「…!」

不意打ちにキスされた。短時間に幾度も動揺してしまい、もうびくびくしっぱなし。
そんな不意打ちとは裏腹に、優しく抱きしめられた。

「ごめんね、スピカ…ハレルヤが無理やり連れて来て君を怖がらせて…」
「こ…怖がらせてって言うより…その…とてつもなく恥ずかしかった…」
「そ、そう…だよね…」

ミレイナの発言でドックに戻りづらくなってしまったので、どうしたらいいか悩んだのは言うまでもなかったが、
そのまま髪を撫でられながらハレルヤのことについてはきっちりと叱っておいたのだった。

Aggressive-Princess Hug&Sympathetic Hug
(ドックに戻るの気まずいから、しばらくこのままで居て…)
(え?うん…)

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[Ex.Vashti's Family in Dock.]
プトレマイオス2改、ドック内の…

「おお、ミレイナか?アリエスはどうした?」
「ハプティズムさんに連れていかれたですぅー。」
「なっ!!?」

…主の現れない機体の前で動揺するイアン。

「あらあら、彼氏に?」
「はいですぅ!」
「あいつ抜きにティアリエルの調整か…出来なくはないが、やりづらいな…」
「確かにティアリエルは完全に彼女専用に調整するから居た方が…」
「連れ戻して来るです?」
「ああ…」

…イアンの肯定にあからさまに嫌そうな顔のミレイナ。

「…何だその嫌そうな顔…」
「だってパパ、ハプティズムさんお姫様抱っこでアリエスさん連れて行ったです!ミレイナには気まずすぎて無理ですぅ!!」
「ぬぁんだとうっ!!?」
「ふふふ…アリエスも愛される子になってきたわねぇ…」

ミレイナの姉とも言える彼女の成長に笑うリンダ。

「笑い事じゃねぇっつの…」

結果がどうであれ、今日もヴァスティ家は平和だった。


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はい、ハレルヤ大暴走in2314です。
場面で言うとアレルヤ&マリー帰還〜ELS飛来までの間。AwoT設定なので若干刹那が素っ気なさげです。
大事な仕事の前の休憩中に捕獲されました。アレルヤの所は対比ってことで。

あとおまけなのですが、私がヴァスティ家好きな故にこんなサイドの話を書きました。

ちなみに弁解の為に彼女が連れて行ったアレルヤに関してはイアンさんから盛大に〆られました。
(主に機体の調整に関する事から彼女への強引な扱い(犯人ハレルヤ)に対して。)

13.04.30



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