この頃、更に髪が伸びてきた。
「…どうしよう。」
パイロットスーツを着る時に邪魔になる。
だが、周りは皆長い髪。自分だけ短くしたら浮くのではないかと思ってしまう。
「あら、アリエス。ずいぶん髪が伸びたわね…大人っぽくていいと思うわ。」
「そ、そう…?」
刹那とロックオンとは別のミッションで私はここに来ていて、久しぶりに会えたシャルさんに言われた。
「でも、前髪は切った方が良いわね…前髪切っただけでも印象は変わるもの。」
「目にかかるともっと目悪くなっちゃうわよ?」
「そ、それは困る…」
リンダさんやスメラギさんの指摘で、まず前髪だけは切る事にした。
それと、昔のように左右も少しだけだが短く切ってもらった。
「どう…?」
「いいじゃない。素敵よ、アリエス。」
髪が伸びた姿を鏡で見ると…
「…最近ミレイナが言ってる、大人への脱皮の意味がようやく分かったような気がする。」
だから、パイロットスーツ着るときの楽な髪の纏め方考えておかないと…と冗談混じりに言ったら笑われた。つられて、自分も少し笑ってしまった。
「アリエスも女の愛嬌が出て来たわねぇ…もしかして、恋でもしてるのかしら?」
「ふふふ…意外と、成長しているのね。」
どうやら、こういうテーマに人は興味津々になるようだ。
「恋、か… 一途に…してる…」
「恋は出来るうちにした方が良いわよ…私なんて、もう恋愛対象に見られないだろうから…」
…実を言うと、既に恋をしているという範疇を越えている。
そんな事を言う勇気は無かったが。
「これで意中の相手にアタックしてみれば上手く行くかもしれないわよ?」
「え…」
そう唆されて、ミッションが終わって真っ先に刹那に会いにいった。
「刹那…!」
「…前髪、切ったんだな。」
「…えぇ、伸ばしたままじゃ目悪くなるって言われたから。」
「何だか…印象が明るくなったな…」
そう言って髪を撫でられた。
「ん… ありがと…」
上手く行ったというよりも変化に気付いてくれて嬉しかった、という気持ちの方が強い。
その後…
「お、前髪切ったのか。」
「ああ、これ、切ってもらったんだ…」
「しかし、結構短くいったな…何かお前らしくないな。」
ロックオンやラッセには普段以上に短い前髪に首を傾げられた。
「アリエス…今思えば、少し前髪を切りすぎちゃったわね。」
「はい…?」
後に聞かされたのは衝撃の事実。
…さっきのやり取りを見られたのかどうかは分からないが、周りの印象が良かった事に変わりはないのでよしとすることにした。
大人への憧れと切りすぎた前髪の話
(しかし…"大人への脱皮"という単語がアリエスの口から聞けるとは思わなかったわねぇ…)
(周りから刺激を受けている証拠よ、いい兆候だわ。)
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[Ex.刹那からの質問]
それは二人きりの時。
「スピカ… 聞いてもいいか?」
「何を…?」
私の髪を撫でながら、刹那が聞いて来た。
「…髪を伸ばすようになった理由だ。マイスターになったときは邪魔でしょうがないと言っていたような気がするのだが…」
「ん…それは…心境の変化ってやつだよ… 尊敬する同性の人たちを見ていたら、伸ばしてみようと思ったんだ。」
「そうか…だが、長い方がお前には似合っている…」
そう微笑んで言ってくれた。
それが嬉しくて見つめていたら、唇が触れた事に気付くのが僅かに遅れた。
(鈍いな…)
(ち、違っ… これはっ…!)
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アリエスが髪を伸ばす理由は大人のお姉さん方への憧れ。スメラギさんとリンダさんだけではちょっともの足りなかったので00P(時系列的には00I 2314ですが)のシャルを出してみました。
刹那相手なのですが、おねーさま方3人が主体なのでotherへ。
13.02.11