トレミーの僕の個室。僕達はこうして二人で過ごす事が多い。
「アレルヤ…」
几帳面でいて、天然。君自身は気付いていないけれど、可愛い所もある。
君が僕に何かしようとしたけれど、届かない。
おおよそで30cmも身長差があるのだから、こればかりはしょうがない。
「届かない?それなら座ろうか。」
さり気なく膝の上に乗せる。
「これなら届く?」
「うん…」
さて、何をしてくれるのかな?
「あ、あの…目…瞑って…」
「ふふ…分かったよ。」
楽しみにしながら目を瞑った。
まぁ、予想は付いているけれど。
「ん…」
君が自分からキスしてくれるなんて。
「君からしてくれるなんて…どうしたんだい?」
「え…特に、意味はない…」
それなら、僕からも。
「ん…んぅっ…」
深いキスを返した。
「…時にはこういう愛の示し方もいいよね?」
「え…?」
君には刺激が強いかな?
でも、こういう事が出来るのは愛が有るからこそなんだ。
「ふふ…」
腕に抱きしめる。
「アレルヤ、積極的だね…」
「それを言うなら、君もだろう?」
こうなったら寝転がってみようか。
「わぁっ!?」
「…驚きすぎ。まぁ、可愛いけどね。」
最初に会った頃は喜怒哀楽が乏しかった。
だから、こうして感情が出るようになると嬉しい。
「…君がそうして感情を出してくれるようになって嬉しいよ。」
…手を握る。
「温かい…」
今度は笑ってくれた。
君が笑ってくれると、他の誰よりも嬉しい。
「…そうだね。」
不意に眼帯を取ってみる。
「わっ…」
お返しに前髪を触られた。
ハレルヤが出てくるかもよ?なんて冗談を言ってみた。
「そ、それは…」
「何されるか分からないもんね。」
困った顔もまた可愛い。
「…ねぇ、スピカ。」
アリエスというマイスターになっても、二人きりの時はそう呼ぶ。
僕達だけの密やかなルール。
「…"君"は僕のものだ。ハレルヤにも渡したくない。」
言葉の続きは耳元で囁いた。
もう一度深いキスをして、髪を撫でた。
「はう…」
赤面している。
それが可愛くて、つい抱きしめてしまった。
「あ、アレルヤ…」
「…大好き。」
額にキスした後「苦しいよ」とつぶやいていたので慌てて緩めた。
「ごめんね」と謝って髪を撫でた。
「ん…」
君の端末が鳴っていた。
仰向けになって通信に応じていた。
『おお、アリエス。ディーヴァの武装の件だが…………』
「…どうしたの?」
『す、すまん…』
イアンさんからの通信だったようだが、僕が居るのに気付いて切ってしまった。
「え、あれ?イアンさん!?」
「…スピカ、空気を読んでくれたんだよ。」
明日朝一で行っておいで、と言っておいた…今は、抱きしめていたいから。
でも腕の中で君は未だに何が何だか分からなくてあたふたしていた。それを見て、僕は笑いを堪えるので精一杯だった…
積極的、かつ甘く。
(…パパ、どうしたですか?)
(…こっ恥ずかしいモンを見てしまった…)
[EX.翌朝の話]
翌朝、イアンさんを探しに行ったが格納庫に居なかったのでブリッジに行った。
「イアンさん…」
「アリエス…」
「…え?」
「昨夜はすまなかった…まさか彼氏といちゃついてるとは…」
…イアンさんが口を滑らせた。
しかも、ミレイナやフェルトが居る前で。
「かっ、彼氏ぃ!?」
「ぱ、パパ!アリエスさんの彼氏さん知ってるですか!?」
とにかく格納庫だ、と言って無理矢理移動してミレイナの尋問を逃れたのだった…
――――――――
はい、マイスターに本気出してデレてもらったシリーズです。本気出してデレてもらったため激甘です。
アレルヤが基本優しい性格なので、デレたらこうなるだろうなーと真っ先に思いつきました。
オチはイアンさんにとばっちりを受けて頂きました。
ちなみにイアンさんの心境はなんてタイミングでいちゃいちゃしてるんだという焦燥の裏にいつの間に彼氏が居たのかという驚愕。
その後、アレルヤはミレイナの見てない隙にイアンさんから「アリエスを泣かすなよ」と釘を刺されたとか差されなかったとか…
…実はこれ、本当はエロで書くつもりだったんですけど途中で投げて再編集したものです。
12.7.24