「んー…」
今日も起きてからストレッチと腹筋に腕立てをしていた。
「99…100!」
ラッセにコツを教わっていたら、既に片手でも出来るようになっていた。
「ふぅ…次は背筋ね。」
マイスターになってから、筋力を付けるようになった。
長期戦で求められるのは持久力だから。
「(よくもまぁ長続きするわねぇ…)」
「まぁ、当然だと言えば欠かすことは出来ないし。」
アニエルに突っ込まれた直後、突如としてドアが空いた。
「え?」
私は背筋の最中で後ろを見られない。ライルかと思ったら、
「アリエスさん!」
ミレイナだった。
「…え?何…?招集?」
敵襲がない限りは今日はミッションが無いはずだ。
機体のメンテナンスに関することだろうか?
「トレーニングばかりじゃ駄目ですぅ!」
「え、マイスターとしてこれくらいしなくちゃ…」
そう言ったら予想外の回答が返ってきた。
「それは女性としてどうかと思うですぅ!」
…訳がわからない。
「いや、ミレイナ…唐突に言われても意味が分からない…」
背筋を終えた後に、ミレイナが言った。
「アリエスさん、もっと女性らしく振舞ったほうが可愛いんですからぁ。」
「そんな事言われても…私、そんな事考えている場合じゃなかったし…」
私はそういう事、あまりにも疎いから…
「もっとおしゃれをするですぅ!」
「へ…?」
「(ふふ…私も前々から突っ込みたかったのよね…)」
「(アニエルまで!)」
その数日後、皆と買い物に出る機会があった。
私はライルに付いて行こうとしたが、ミレイナに阻止されてまっ先にショップに連れていかれた。
そこで何故私に薦めたんだと聞きたいピンクのフリルの付いたワンピースを着せられた。
「これは…わ、私よりフェルトの方がっ…!」
「今日はアリエスさんにおしゃれさせようというのがメインイベントですぅ!」
ミレイナの横ではフェルトが難儀していた。
そこまではまだいい、だが…
「よう、お嬢さん方。」
「ろ、ロックオン…!?」
私は激しく動揺した。彼にだけは見られたくないと思っていたのに。
慌てて試着室のカーテンを閉めようとしたが、彼に阻止された。
「へーぇ、随分と可愛い服着ちゃって…」
「み、ミレイナが…無理やり…」
私は外で絵を描くとき木に登ったりする為、こういう服は向いていない。
「一度くらい着て欲しいとか思ってたんだよなー…」
で、彼は店員に…
「お姉さん、これ貰うよ。」
言っちゃった。しかもあっさりと。
…よほど私がこういう服を着る姿が気に入ったのだろう。
「ちょっ…!」
店を出たその後、さりげなく二人きりに。
「あのお嬢様がたのことは良いのか?」
「…良いの。ライルと一緒にいたい。」
そう言って手を繋いだ。
「アリエス、」
「ん…」
「今度買い物行くときは二人っきりでな?」
「えっ…」
そんなに照れるなよ、可愛いのは本当なんだから。
そう言われた。
「兄さんに見せたいくらいだな、本当に…」
「…そうだね、こういう服着てる所…見せたかったかも…」
そっと手を繋いだ。
「…ありがと、ライル。」
そういう気持ちに気付かせてくれたのは、感謝しなくちゃいけない。
「いいっていいって。俺も、可愛い所見れて眼福だったし。」
そう言ってキスしてきた。
「………!」
「マイスターとして日頃の努力も大事だけど…お前にはもっと可愛くいて欲しい。」
その後、戻った後にミレイナから一言。
「アリエスさんは年上キラーなのですか!?」
「そんな事聞かれても…確かに、彼と歳は離れてるけど…意識したこと無いし…」
私には到底彼女の言動が理解出来ないと感じた今日この頃だった…
おしゃれ騒動
(うぅ…訳がわからないよぅ…)
(お前、訓練よりももう少し日常生活に馴染む事を優先した方がいいぞ…)
マイスターでも女性らしさを持ったほうがいいというミレイナの介入ネタ(故に√GMです)
ライルとミレイナはアリエスに可愛い服を着て欲しいという意味では意見が合ってます。
ライルにはアリエスが日常生活に馴染めていないことがモロバレです(ガールズトークについていけないなど)
歳の差に関しては彼女は大らかそうな気がしたので、意識したことない設定にしました。
12.04.06