04.運命の出逢い


村を出て、旅道を歩く。
この先には砂漠があると、すれ違った旅人から聞いていた。
が、旅をするのも楽ではないと分かったのは、直ぐの事だった。

「ぐるる…」
「また魔物?もう何匹目よー…」

ヒロインは、剣を取り出し構える。

「はーっ!」
「ギャアア!」

魔物は、ヒロインの剣を浴び倒れる。
旅を出てからずっと、魔物を倒しっぱなしだ。

「これも魔王のせいなのかな…」

聡や道具屋から沢山薬草を貰っていたが、もう袋の底が見えている。

「砂漠の村に着いたら、薬草を大量に買わないともたないわ…」

ヒロインは剣を持ちながら、前へと進む。
今の彼女には、前へ進むしかない。

そして、後少しで村があるという看板がある所まで来たヒロイン。

「ふう、後少しね…」

顔はもう泥だらけ。
首と胸の谷間には、切り傷を負っていた。
一刻も早く、シャワーを浴びたい。
ーふと、前方から何か声が上がっている事に気がついた。

「何かしら…」

ヒロインはゆっくりと、前方の坂道を上がる。
見えてきたのは、水の様な綺麗な長く青い髪。
青いローブに身を包んだ青年が、魔物と相見えていた。

「そこをどけ、外道どもが」
「キキーッ!赤龍様!俺達を馬鹿にすると、青龍様が黙ってないぜ!」
「だからどうした。あいつは自分が得とする事にしか、興味などない。貴様など、使い捨ての雑魚だ」

青年が吐き捨てる様に言うと、魔物が怒りに燃えていた。

「キキーッ!いくら赤龍様でも許せん!」

魔物が青年に飛びかかろうと、高く飛び上がった。

「あ、危ない!」

ヒロインは、咄嗟に声を上げていた。

「ふん、雑魚が。…水泡!」

青年がそう言うと、水の泡が現れ魔物を包んで攻撃していた。

「ぎゃー!」

魔物は、その泡と同時に消えていた。

「す、凄い…。一瞬で魔物を…あれが魔法ってやつかな…?」

ヒロインは目の前で起こった事に感動して、暫く口が閉じれなかった。
魔法という珍しいものを、この目で見る事が出来たのだから。

「…下らん奴らが」

青年はそう吐き捨てると、そのまま歩き出す。

「あ…ま、待って下さい!」

ヒロインは、去っていく青年の背中に咄嗟に声を掛けた。

「…」

青年は、くるりと後ろを振り向く。
その端正で綺麗な顔立ちに、ヒロインの胸がどくんと高鳴った。

「…なんだ貴様は」

怪訝そうにヒロインを見る青年。

「あ、あの…貴方強いんですね!今の…魔法ですよね?」
「それがどうした」
「凄いなと思って…」
「…話はそれだけか?」
「え?」

青年は、下らないという表情を浮かべている。

「俺は貴様の様な暇人ではない。下らん事で人を呼び止めるな」
「な…」

思わぬ言葉に、驚きを隠せないヒロイン。

「ふん、時間の無駄をした」

くるりと踵を返すと、青年は去って行った。

「な、なんなのあの人!顔は良いのに、出てくる言葉悪すぎでしょ?!」

顔と言葉のギャップが凄すぎて、ヒロインは怒りが湧いてしまった。

「…でも、強かったな。魔法を使えるんだもんね…」

この世界で、魔法を使える者はいないと聞いていた。
何でも、高い精神力が必要らしい。

「生まれて初めて見たわ、魔法を…。あの人は一体何者なの…?」

ヒロインの心の中に、怒りより、彼をもっと知りたいという追求心が出ていた。

「…追いかけよう。あの人、きっと凄い人なんだわ。もし…あの人とスる事が出来たら…」

ヒロインの足は、いつの間にか駆け出していたー。


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