優しく廻れ
ジャスミンの夢の番外編。時間軸は夢主が記憶を取り戻した後。
「あ、とり!!」
玉狛の基地について早々、何故か玄関で座っていたキリが大きな声でそう叫んだ。瞬間、リビングの方からガタガタとうるさい音が響いてくる。
「・・? ただいま」
「うんうん、とりお買い物いこう!!?」
「は・・?」
リビングに向かう烏丸の腕を慌てて掴んだキリは、そう言うとぐいぐい玄関に引き戻す。
「れーじにね、お買い物してきてくれって言われたんだ! よしいこう!」
「あ、おいーー」
静止の声も虚しく、あっという間に外に連れ出された。
「っくし」
「・・それ、薄着すぎるだろ」
「わぁ、ありがとう。とり」
夏が近付いてきていることもあって、昼間は薄いワンピースでも平気だったが、既に日が落ちた今はキリが着ているワンピースでは肌寒い。
小さくくしゃみしたキリにアウターを肩にかけてやる。そうすれば、キリはちょっと嬉しそうに笑ってアウターに袖を通した。
「・・・・で、何を買ってくればいいんだ?」
そう言えば、キリはポッケから紙切れを取り出す。
「えーっと、お茶っ葉とティッシュとカレーのルー」
「・・それ、今すぐ買い物に行かなきゃいけない程必要か?」
「いいの、いいの!」
いこう! と走り出したキリが危なっかしく思えて慌てて手を握る。
「いきなり走るな、転ぶぞ」
もう、記憶がなくて幼子のようなキリではないのに自分も過保護だな、なんて思えば
「うん。ありがとうー、とり」
なんてへにゃっと無防備にキリが笑うのだから、まだまだ過保護でいなくては、なんて思ってしまうのだ。
「おー、帰ってきたなー」
一通り買い物を終えて再び玉狛の基地に帰れば、今度は迅が待ち構えていた。一体今日はなんなんだと思いつつ、うずうずするキリを握る手を離して促してやる。キリはパッと顔を輝かせて迅の元へと走っていった。
「悠一、できた?」
「おー、できたぞ。なんたって実力派エリートとその仲間でやったからな」
「そっかそっか!」
そう笑ってキリはまたこちらに駆けてきて、烏丸の手を引き走り出す。
「とり、早く入って!」
「・・・・・・?」
訳も分からずキリに言われるままに基地に入れば、軽快な破裂音と共に落ちてくる色とりどりの小さな紙。
玄関に集合していた玉狛メンバーが、クラッカーを鳴らしたのだ。
「お誕生日おめでとう、とり!」
ニコニコ笑うキリが目の前でそう言った。
「キリがな、サプライズパーティーやろうって提案したんだ」
後から入ってきた迅がそう言って笑う。
「ふむ・・こっちの世界にはすごい物があるんだな・・」
「それはね、クラッカーって言うんだよ遊真くん」
「ほう・・?」
「烏丸先輩、お誕生日おめでとうございます」
「レイジ! ケーキはまだか!」
「陽太郎、それはデザートだ」
「ならさっさと食べるわよ、夕食!」
もはや主役そっちのけで盛り上がり始めたメンバーを呆然と見つめる。誕生日をこうやって子供みたいに祝うのはいつ以来だろうか。
キリが玉狛に来てから、随分玉狛の雰囲気は変わった。キリを中心にくるくる優しく回り出したのだ。
「ほら、とり、主役でしょ。早く早く」
そう言って烏丸の手を引いてきらきら笑うキリがちょっと眩しくて、照れくさく笑った。
「あ、とり!!」
玉狛の基地について早々、何故か玄関で座っていたキリが大きな声でそう叫んだ。瞬間、リビングの方からガタガタとうるさい音が響いてくる。
「・・? ただいま」
「うんうん、とりお買い物いこう!!?」
「は・・?」
リビングに向かう烏丸の腕を慌てて掴んだキリは、そう言うとぐいぐい玄関に引き戻す。
「れーじにね、お買い物してきてくれって言われたんだ! よしいこう!」
「あ、おいーー」
静止の声も虚しく、あっという間に外に連れ出された。
「っくし」
「・・それ、薄着すぎるだろ」
「わぁ、ありがとう。とり」
夏が近付いてきていることもあって、昼間は薄いワンピースでも平気だったが、既に日が落ちた今はキリが着ているワンピースでは肌寒い。
小さくくしゃみしたキリにアウターを肩にかけてやる。そうすれば、キリはちょっと嬉しそうに笑ってアウターに袖を通した。
「・・・・で、何を買ってくればいいんだ?」
そう言えば、キリはポッケから紙切れを取り出す。
「えーっと、お茶っ葉とティッシュとカレーのルー」
「・・それ、今すぐ買い物に行かなきゃいけない程必要か?」
「いいの、いいの!」
いこう! と走り出したキリが危なっかしく思えて慌てて手を握る。
「いきなり走るな、転ぶぞ」
もう、記憶がなくて幼子のようなキリではないのに自分も過保護だな、なんて思えば
「うん。ありがとうー、とり」
なんてへにゃっと無防備にキリが笑うのだから、まだまだ過保護でいなくては、なんて思ってしまうのだ。
「おー、帰ってきたなー」
一通り買い物を終えて再び玉狛の基地に帰れば、今度は迅が待ち構えていた。一体今日はなんなんだと思いつつ、うずうずするキリを握る手を離して促してやる。キリはパッと顔を輝かせて迅の元へと走っていった。
「悠一、できた?」
「おー、できたぞ。なんたって実力派エリートとその仲間でやったからな」
「そっかそっか!」
そう笑ってキリはまたこちらに駆けてきて、烏丸の手を引き走り出す。
「とり、早く入って!」
「・・・・・・?」
訳も分からずキリに言われるままに基地に入れば、軽快な破裂音と共に落ちてくる色とりどりの小さな紙。
玄関に集合していた玉狛メンバーが、クラッカーを鳴らしたのだ。
「お誕生日おめでとう、とり!」
ニコニコ笑うキリが目の前でそう言った。
「キリがな、サプライズパーティーやろうって提案したんだ」
後から入ってきた迅がそう言って笑う。
「ふむ・・こっちの世界にはすごい物があるんだな・・」
「それはね、クラッカーって言うんだよ遊真くん」
「ほう・・?」
「烏丸先輩、お誕生日おめでとうございます」
「レイジ! ケーキはまだか!」
「陽太郎、それはデザートだ」
「ならさっさと食べるわよ、夕食!」
もはや主役そっちのけで盛り上がり始めたメンバーを呆然と見つめる。誕生日をこうやって子供みたいに祝うのはいつ以来だろうか。
キリが玉狛に来てから、随分玉狛の雰囲気は変わった。キリを中心にくるくる優しく回り出したのだ。
「ほら、とり、主役でしょ。早く早く」
そう言って烏丸の手を引いてきらきら笑うキリがちょっと眩しくて、照れくさく笑った。