What's color?





 彼女を色に例えるならば、何色なのだろうか。

 ふと、そんな疑問が湧いて天羽はぼんやり空を見上げた。

 少し前までの警戒区域に指定されたことによって放置された住宅街は今や見る影もなく、あたりは残骸や瓦礫が無造作に転がっている。トリオン兵もとりわけ強いわけでもなかったし、これ以上くる気配もないので完全に暇を持て余していた。

 その上、幼馴染みでもありオペレーターであるキリは先程から通信が繋がらない。大方、指示するまでもないと判断したから別のことをやっているのだろう。
 他の誰かに指示されるのも癪に触るし、そもそもキリ以外の指示で動くのは億劫なので天羽はこれまた無造作に通信機を外すと瓦礫の上に座り込んだ。

 キリは、よく笑う。

 よく泣きもするし、よく怒る。とにかく視界的にうるさい。
 それでも、よくもまあ疲れないなと思いながら見つめるキリからはいつも、綺麗な色が見えるのだ。少し優しくて、温かい色。
 雰囲気は、今の空模様に似ているかもしれない。

 「・・・・でも、こんな綺麗な青じゃないや」

 「・・何が?」

 もんもんとそんな事を考えながらそう呟いて寝転がれば、視界に青い空をバックにキリの顔が映った。

 「・・あれ、キリなんで?」

 「なんで? じゃないわよ、月彦が通信に出ないから来てあげたんだから」

 「先に通信出なくなったのキリじゃん・・・・」

 「えー?」

 半ばいじけつつ外した通信機をキリに押し付ける。キリはそれを受け取ると天羽の隣に座った。

 (・・まただ、優しい、色)

 ぼんやり通信機に奮闘すりキリを眺める。ふと、何かに気付いたキリがこちらを向く。

 「ばか! 月彦のばか! これ壊れてんじゃん。だから任務前に言ったじゃない、確認してねって」

 これは、淡い赤色。

 「そうだっけ・・・・?」

 「あー・・心配させないでよ。ほんとにもー」

 これは、少し濃い青。

 「・・キリは、綺麗だよね・・・・色が」

 「・・私そのものは?」

 「別にあんまり」

 「ふざけんな」

 軽く頭を叩かれて、天羽はちょっと笑って目を閉じる。

 「ここで寝ないでよ? これから城戸さんに報告行かなきゃいけないんだから」

 「えー・・・・・・」

 次に目を開けた時に見える彼女の色は、やはり先程と違ってそして綺麗なのだろう。緑、淡い黄、それともオレンジか。

 そんな事を思いつつ、どこか期待しながら天羽は目を開けた。瞬間、また優しい色が、視界に満ちた。











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