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私はユウキくんのことが好き。いつも明るくて前向きで皆から慕われてる、私を救ってくれたヒーロー。気持ちを伝えるとか難しいことは考えたくない。今はただユウキくんと一緒にいられる幸せを噛み締めたい。


「ユウキくんはさ、その、好きな人とかいないの?」
「俺?うーん、あんま考えたことないなぁ。どうしたんだいきなり?」
「な、なんでもないの。気になっただけ」
「ならいいけど」


とか大人ぶってみても、私だってまだ思春期の女の子だし、恋は実らせたい。勇気を出して聞いてみたけどいないことに安堵すると同時に少し残念。私のことはなんとも思ってないのかな。どれだけ一緒にいても、ユウキくんにとって私はずっと友達の延長線上なのかな。
ミツルくん曰く私の気持ちは周囲にバレバレみたいだけれど、当のユウキくんは全くそれに気づいてる素振りがない。鈍感、なんだろうか。恋愛に疎いというか、恋をしたこともあるのか疑わしい。いっそ気づいてくれた方が楽なのに。告白する勇気は生憎持ち合わせていないし。私もユウキくんのように強い心があったら、こんな悩まずに済んだのかな。見込み、ないのかな。


「あ、好きな人とかはよくわからないけど、大切に思ってる人ならいるぞ」
「え、」
「ハルカ、お前だよ」
「…ふぇ!?」
「父さんや母さんも勿論大切だけど、なんかあの二人とは違うんだよなー。特別?」


これは、期待してもいいのかな。顔が赤いのを必死で隠してるけど、今きっと耳まで真っ赤。頭が沸騰しそう。凄く嬉しい。やっぱりユウキくん大好き。
鈍感なユウキくんに自覚して貰うには後は私の行動に掛かってる、と思う。後でミツルくんかナギさんに相談しよう。







盗んだ心を返して


20120223 / Bicky's




















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