自室にて筆を握り、何やら悩んでおられる土方さんはっけーん!
突撃開始!


「ひっじかったさーん!」

「ごふっ!」


私の時代が鬱過ぎて学校の屋上からアレしたのに、目が覚めたら幕末の、新選組の屯所にいた。

最初は警戒されるわ、刀振り回されるわで死んでしまった方が良かったわ!なんて思ったけど、愛しの土方さんとこうして日々お茶ができるようになった今、もう死のうだなんて思ったりしない。


「おい、幹部に突進してくる女中がどこにいる」

「あっ、はいっ、はーい!私がいまーす」


俺が聞いたのがバカだった、と机に散らばった半紙と筆を片付け始める。
彼は気付いていない、今日と言う大事な日を。


「ちょっとちょっと、土方さん!今日は私と土方さんが祝言を挙げた日じゃない「だろ。いつそんなもん挙げたんだよ、今日は端午の節句だ」


そこまで分かっていてなんで次の言葉が出ないの、土方さん。
端午の節句と言えば5月5日、5月5日と言えば


「あなたの誕生日でしょぉぉおぉ!」


何のんきに筆なんて片付けてんですか!赤飯ですよ!赤飯たかなきゃ!鯛のお刺身とか作らなくちゃ!


「誕生日だ?」

「これだから昔の人は。あのですね、この世に生を受けた日なんですよ、30年前の今日は!私にしてみたら神様にも土方さんのご家族にも土方さん自身にも感謝すべき日なんですよ!」

「あ、あぁ…」

「今私がこうして屋根のあるところにいられるのも、人を好きだって思えるようになったのも、全部全部土方さんのお陰なんです!」


だから、




誕生日おめでとう


(なっ、なんで土方さんの飯だけ赤飯なんだよ!)
(…あれ、さらの手作りらしいぜ、新八)
(そりゃあ気の毒に…)




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