五稜郭の戦いも終わり、大鳥の計らいで歴史的に俺は死んだことになった。
最後まで小姓してくれた千鶴は、故郷へ戻り、さらと俺は蝦夷に残った。


「馬子にも衣装だな…」

「失礼な、あなたの妻だからこれも似合って見えるんですよ」


祝言を挙げる。
本当は二人で一生を誓えばいいと思っていたが、千鶴とお千が、さらを待たせた上に、そんなさっと祝言なんて許さない、と言われ、もう二度と戻ることのないと思ってた京都に戻り、今に至る。


「それに、千姫がわざわざ用意して下さったのよ?似合うに決まってるじゃない」

「やけに張り切ってるな。白無垢まで用意して、自分の屋敷で祝言挙げさせるなんてよ」

「ご好意よ。ほら、みんな待ってるわ、早く行きましょ」


微笑んで大広間へ向かうさらを抱きとめた。


「遅くなって悪かったな。遅れた分もお前を幸せにするから、覚悟しとけ」

「もう十分ですよ、歳三さん」











「ちょっと、土方さん?何まどろんでんですか」


夢か…
久々に夢なんか見ちまった。
目を開けた先にはスーツを着こなす、夢と変わらない女の顔があった。
まぁ、あの頃に比べたら化粧も上手くなって、髪だって茶色い。


「なんですか、人の顔じろじろ見て」

「いや…またあんときの、祝言の夢見てな…」


言った瞬間、さらの顔が懐かしい、と綻ぶ。
別々の場所で生まれて育ってきたのに、また俺のそばに居てくれるさら。
運命の赤い糸、なんてもんを信じたくなるやつが今ならわからなくもない。


「にしても、総司とか何してるんだろうね。また近藤さんにひっつき虫なのかな?」

「さぁな。女にでも生まれ変わって結婚してるかもしれねぇよ」


うわー、あり得なくないかもと笑いながら、まだ作りかけの企画書を完成させていく。
その姿はあの頃のさらと重なる。

また行き遅れ、なんて言われちまう年になる前に、今度こそさらを幸せにしたい。


「おい…」

「ん、コーヒー?」

「いや…まだお前のウエディングドレス見てねぇな、って思ってよ」






二度目のプロポーズ


“もう一度幸せにしてやる”

“もう十分すぎるくらい幸せだよ、歳三さん”





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