「シリウスー、リリーが結婚するんだってー」
お互い騎士団の任務もなくて、
のんびりな火曜の朝。
「あぁ、らしいな。ムーニーとようやくジェームズからの指輪の相談もなくなるって話したばっかりだ」
「最近、ロンドンに行ってると思ったら指輪探してたんだー」
ダイニングテーブル。
私の前の席に座るシリウスは
新聞紙を読みながらコーヒー片手に
ほっとした微笑みを見せた。
「リリー、幸せになってほしいな」
「他人の幸せ願う前に、自分の心配しろよー」
「いいじゃない、別に」
「……サラは、幸せになりたくないのかよ?」
シリウスの視線はいつのまにか
私に向いていた。
「いや、私だって人並みな幸せには憧れてますが?」
「ふーん、…」
さっきまで飲んでたコーヒーはいつの間にか空で、
読んでいた新聞も綺麗に畳まれて。
「俺を幸せにしないか?」
薬指にキスして
「何その養え発言」
「いや、俺はそういうことじゃなくて!」