「決めた わしゃ宙にいくぜよ」


空を見上げ呟くもじゃもじゃ頭と
寝転がりながら話を聞く これもまたもじゃもじゃの銀髪
その横で同じように座り空を見上げる、赤い髪の少女

「宙?」

そうじゃ、と呟き少女を見やる

「このまま地べたはいずり回って天人と戦ったところで先は見えちょる
 わしらがこうしちょる間にも天人はじゃんじゃん地球に来ちょるきに

 押しよせる時代の波にはさからえんぜよ」

「そう・・・だね・・・」

「こんな戦はいたずらに仲間 死ににいかせるだけじゃ
 わしゃ もう仲間が死ぬところは見たくない」

「うん」

「これからはもっと高い視点をもって生きねばダメじゃ
 そう地球人も天人もいや星さえも見わたせる高い視点がのー

 だからわしゃ宙にいく」


辰馬、と少女は男を見る
名前を呼ばれた男は少し微笑むとまた空を見る

「宇宙にデカい船浮かべて
 星ごとすくいあげる漁をするんじゃ」

「ん、素敵だね 辰馬にピッタリだよ」

「どうじゃ胡桃? わしと一緒に来んかの」

辰馬は胡桃と呼んだ少女を見る
私が?と胡桃は肩を竦ませ 蜂蜜色の瞳を細めて笑った

赤く短い髪を触りながら胡桃は少し考える顔をする

「私は、残るよ」

「そーか・・・この銀髪が心配かの?」

まさか、とケラケラと笑い頭に巻いていた白い布を解く
私にはそんなデカい漁似合わないって、と言いながら足元を弄る

「私、意外と地球が好きなのよ
 辰馬が宙でデカい漁するなら私は辰馬が安心して漁が出来るように
 地上でサポートしてるよ」

辰馬が取りこぼしてしまったモノ、宙に戻してあげる
そう言って辰馬に笑いかけ、銀時でも誘ってみなよ と銀時を見た

「あら・・・」

「そうじゃの、どうじゃ銀時?
 おんしゃ この狭か星にとじこめておくには勿体ないデカか男じゃけー
 わしと一緒に・・・」

「ぐーぐー」

「アッハッハッハッハッハッー 天よォ!!
 コイツに隕石ば 叩き落としてくださーい アッハッハッハッ」



「はっ!! ハハ 危ない危ない
 あまりにも暑いもんじゃけー 昔のことが走馬燈のように駆けめぐりかけたぜよ」

何とか助かったってのに危なか〜、と辰馬は言うが
助かった?これのどこがよ げんに銀ちゃんも助かっただァ?と声を上げた

「あぢィ〜」

「コレのどこが 助かったってんだよ・・・」

「あぢィ〜」

銀ちゃんの言葉をBGMにしながら永遠とあぢィ〜と呟いていると
どこからか頭を叩かれた。痛い暑い痛い暑い痛い「暑い!!」

うるせェ!!という声と共にまた頭に衝撃が走った
多分さっきの衝撃も銀ちゃんによるものであろう
何するの、という気持ちを込めて睨む

「も〜お前しゃべんやな〜」

こっちまで暑くなるだろうが、いやもう暑いから、うるせェ!!バコン
理不尽だ、理不尽すぎるよ

「大体テメーが舵折らなきゃ こんなことにはならなかったんだぞ」

「アッハッハッハッ 前回のことなんか忘れたぜよ!
 男は前だけ見て生きてくもんろー」

「なーに すっとぼけてんだ コノ毛玉ァ!!」

「あーもう暑いから騒ぐなや〜!!

 神楽ちゃんも大丈夫?
 キミは元々日の光に弱いんだからね」

「大丈夫アルヨ 傘があれば平気だヨ

 でも喉かわいたからちょっとあっちの川で水飲んでくるネ」

「川ってどこ!?イカンイカンイカン!
 その川渡ったらダメだよォォ!!」


あ〜まじで暑い なんでこうなっちゃったかな
それもこれもあのもじゃもじゃ頭の男のせいなんだがな


「おんし〜」

「・・・私?」


元凶が声かけてきたよ いやもうまじでそっとしておいてくれ
暑いんだ、暑いからイライラしてるんだ こっちは


「どっかで会ったことあるかの?」

「やだ〜!何それ新手のナンパ?マジキモーい
 ナンパするならソレにストレートパーマかけてから来いよ」

「アッハッハッハッ 泣いていい?」


昔から、普段は頭はカラなくせにたまに鋭いんだよなァ
少し前の方で新八が銀ちゃんの頭にかかと落としをしてるのが見える
あいつの元気分けてほしいくらいだわ


「何言ってんの見えねーの お前ら?あ 花畑もあるぞ〜
 あ 結野アナもいる〜 結婚してくれ〜」

「何をバカなことゆーちょる・・・ あっ おりょうちゃんだ!!
 結婚してくれェェ!!」

「オイ、なんか懐かしい赤髪も見えるぞ〜」

「見えるき〜」

「オイもじゃもじゃーズ 戻ってこい」


2人の頭にチョップをかましていると
新八が誰も信用できねー!などと叫んでいた
いやだから その叫ぶ元気分けてくれよ


「胡桃ちゃんぐらいだよもう信用できるのは・・・」

「新八・・・頑張ろうな」

「胡桃ちゃん・・・」

「ま、とりあえずさ このバカ3人こっち連れ戻すために
 あっちの湖から水汲んでくるね」

「お前もかィィィ!!
 もうおしまいだァァ!!」

さっきの銀ちゃんからの2発に加え
新八のチョップが効き私はもうしゃべる気力すらなくなった

すると一緒に落ちた乗客の1人が空を指差して何かを叫んでいた
ん?あれは・・・宇宙船?



.




prev | next




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -