何で俺が鈍感メガネのことを色々教えてあげなければならないんだ。花形の好みなんて知るか。知りたくもない。知ったらどんな内容にしろヘコむのが目に見えてる。どう足掻いたって俺はその好みに沿うことができないからだ。何故そんなことで俺がヘコむのか?答えはとても簡単、花形のことが好きだからだ。な、簡単だったろ。
今まで、こんなに誰かに惚れ込んだことはなかった。男になど以ての外だ。それが気付けば目で追ってしまうし一言一句に意識を集中させてしまうし、ちょっとした仕草にかわいいと思ったりドキリとしてしまったり。花形と違って俺は鈍感じゃあないから、典型的な『恋』だと自覚するのはそう遅くなかった。
「相変わらずモテるな藤真」
お前こそ相変わらずすっとぼけたことを言う。そう心の中で毒づかずにはいられない。
「花形ァ、ちゃんとメガネ拭いてるか?」
「は?」
「お前の隠れファンて結構居るんだぞ」
メガネの奥の黒目がぱちくりと瞬いて、細められた。あっコノヤロウ冗談だと思ってやがる。レンズかち割るぞ。
「藤真じゃあるまいし。慰めはよせよ」
「…ぁあ?」
軽く笑い飛ばす様が異様に腹立たしい。人の気も知らないでこの男は。反射的にドスの利いた声が出た。自分でも驚いたくらいだから、無論花形も驚いていた。すっかり喧嘩腰になった俺は目の前のネクタイをひっ掴んで引っ張った。不意打ちで花形の身体がグンとよろめく。
「もっと周り見てみろ、耳すましてみろ。チラチラお前を見てる子も居るしコソコソお前のことがかっこいいとか言ってる子も居る。なんか知らないけどお前のこと好きな子って恥ずかしがり屋が多いから俺に探り入れてくんだよ。花形くんのタイプってどんなの?普段どんなことしてるの?意外な一面とかあるの?そんなん俺が知るワケないし知ってても絶っ対教えないっての」
「え、なん…どうしたんだ、藤真」
「つまり!お前は超絶鈍感で!そんなんだから草食系なんだよ!」
後半はほぼ八つ当たりだ。





(メモ)花形透が好きすぎる藤真様
なんかグレ気味

20140114

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -