シチュエーションとしては事後










例えば、余裕のない表情。
いつもバカ扱いされてるししてるしで本人も自覚はしている(らしい)、それがいつもの“当たり前”だ。練習や試合で本気になったときの表情と近くはあるけど、こっちの方が断然色気というものがある。強烈に。そうして垣間見る雄臭さに噎せそうになる。これがまた、クセになるのだ。
「どーしたの?もう、疲れた?ギブ?」
伸ばし放題の金髪を右耳にかけて顔をのぞき込んでくる。何でもないようで何でもなくない仕草。ときめかずして何とする、というのは贔屓目なんだろう。けど多分、大体の女子は同意してくれるんじゃないか。先程の行為の名残か心臓がドクドクと力強く脈打っていて、いい加減痛い。煩い。苦しい。
「みとれてた」
「ン?俺に?ンハッ、筧デレ期!俺照れちゃう!」
水町はすぐ調子に乗った声を出すけど、そろそろわかってきた。何がわかってきたって、ただ調子に乗ってるだけなのか、照れ隠しなのか、だ。今のはわかりやすく後者。健康的な色をした頬に赤みが差しているからだ。真っ先に、かわいいな、と思ってしまう。水町は素直でたまに鬱陶しくてでもやっぱりかわいい。
「もっかいくらいなら付き合ってやるけど。もうやめるか?」
「ンなもったいねーことするわけないっしょ!俺は筧が許してくれる限りやりてーっての」
「…何だよ、もっとやりてえなら言やあいいだろ」
承諾するかはまた別だけど、と付け足しながら水町の頬に手を伸ばす。パサついた金色が汗を含んで肌に張り付いていたのを軽く払った。水町は自ら俺の手に頬をすり寄せてきて嬉しそうにしている。
「それはやーだね。筧にムチャはさせたくねーの」
「…惚れるな」
「ンハッ、そりゃ前からだろ!」
水町のセリフに気を取られ、湿った頬に触れていた手をいつの間にか水町の手が握っていた。指が絡んでいるのでその骨ばった感触が直に伝わる。
「んじゃもっかいな」
ちゅっと音をたてながらキスをして、水町は笑った。無邪気なのにどこかエロいその笑みは、俺しか見たことがないんだろうな。







20131201

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