多分あまあまえろ










「藤真はどこもかしこも色が薄いな」なんて、黒縁メガネが言う。俺は何とも返せない。何故なら、それどころではないからだ。
「う、ンン、あっ…」
俺の口は今、喘ぐのに忙しい。メガネこと花形透君は俺の下腹部に指を這わせて耳を甘噛みしてきた。今更だが花形が今メガネをかけているかは知らない。奴は後ろから俺に触っていて、俺は一度も振り返ってないから。多分まだかけてると思うけど。花形の長い指が元気な俺のモノから離れて、ほんの少し上がってきた。
「は、ながた…バカ、変なとこ、さわ…んな」
そして、濃いとは言えない茂みに指を絡ませる。
「ココも薄い」
「うっせ、っバカやろ…!」
「こういうところもひっくるめて好きだ」
「…はぁ、ん…」
バカなことを言う。ドコをひっくるめているんだ。けれど花形に、掠れるような低い声で、耳許で好きだと言われてしまうと、俺の身体は簡単に感じてしまうのだ。腹に視線を寄越せば右手が陰毛へ、寂しくなっていた陰茎に左手が添えられていた。一目で花形の手だとわかるけど、顔が見られないと俺だって少しくらいは不安を抱く。探るようにそろそろと振り返ると、メガネをかけた面と目が合った。同じタイミングで、キスをする。深くはないが唇を食んだり角度を変えたりと確かめるように交わす。ふと腰辺りに当たるモノを感じて、思わず口角が上がった。少し無理のある体勢になるけど、後ろ手でソコへ手を伸ばした。
「コーフン、する?」
「、もちろん…しないわけ、ないだろ」
ぎこちない動きで花形のを布越しに触る。至近距離で花形が息を呑むのが生々しい。こういうのを色気と言うのか。
そうして互いを刺激し合えば、先に扱かれていた俺の方が直ぐに限界を迎える。花形のズボンの膝辺りを握り締めてその兆候に耐えた。
「イ、くっ!」
言って一拍置いて、俺は射精した。視界の隅で大きな掌が俺の吐き出したモノを受け止めるのが見えた。脱力すると、背後の花形に支えられた。花形のにおいがする。このまま身体も心もこの男に包まれたまま眠りたいが、俺もそこまで薄情ではない。自分だけイイ思いをするなんてフェアじゃあない。なんとか力を入れて、身体ごと花形の方へ向いた。自身の射精に構えて止めてしまっていた手を再び動かす。俺が花形のズボンに手をかけている間に、奴は白濁まみれの指を俺の後ろへと這わせた。表面からじっくり俺の精液で慣らして、つぷ、と指が一本入る。そちらにばかり気を取られすぎると自分の手が止まってしまうので、俺は目の前のモノに集中するに努めた。なかなか難しい努力ではあるが。
「花形ァ…もっとペース、速くしろ…あぁ、ンっ…早く挿れ、て」
「…わかった。…藤真、っそろそろ後ろだけでも、イけるんじゃないのか…?」
悔しいけど、そうかもしれないと思ってしまった。
最初とは比べものにならないくらいにヤるペースは上がっている。後ろに指三本挿れられてまた少し勃起している。確実にもう、花形に責任を取ってもらうしかない身体に俺はなっているのだ。
花形が充分すぎるくらいに後ろを解していく。いい加減焦れた俺は自分で腰を上げた。膝立ちになって、それはそれは立派に上向いたモノの上から再び腰を下ろす。するとメガネが焦った声を上げる。
「ふ、じま、ムリするなっ」
「おまえ、が!アアっ、遅いん、っだよ…!」
あつい。ぬぷりと面白いくらいに入る。ドクドク、花形のが脈打ってるのか自分の心臓なのかわからない。多分今、三分の二くらい入ったはずだ。花形はその長身に見合った(寧ろ少しデカいくらいかも)ブツを持っているから嫌になる。まあそのお陰で、かなり奥深くまで抉られてゾクゾクするのだけど。しかしそんなことを本人に知らせる必要はないだろう。
余りの圧迫感に背を逸らしながらも腰を進めていく。まだ苦痛が残っている。呼吸をすることさえ覚束ない。ぐっと目を瞑れば温かい掌が腰を労る。そうして、何とか全部入りきることに成功した。花形に抱きついて暫く息を整える。
「〜ッッ…!」
「…こういうの、淫乱って言うんじゃないか?」
「余計なこと、言ってんな…お前のため、に、やってんだぞコッチは…はぁ…」
「うん。ありがとう、藤真、好きだ。大好き。愛してる」
花形が宥めるようにそこら中をキスしてくるのがくすぐったくて、心地いい。子供にやるみたいに頭を撫でられる。「お前のため」なんて言ったって、結局半分くらいは自分のためだ。それをわかっているだろうにこの男は、俺に愛を囁く。
俺も好き。大好き愛してる。
声に出せない己の性格が恨めしい。唇から直接気持ちが伝わればいいと、またキスをした。







20131229

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