桜木の全身に物理的な衝撃が走った。ガシャアンと盛大な音を立てて、背後にぶつかってきたものが倒れる。振り返ればそこには、居眠り運転で有名な同級生かつ部活仲間の姿があった。
「ル・カ・ワァ…!」
歳に合わず般若の如く顔を歪ませる桜木、しかし流川は相手が桜木とわかると謝罪しようとした口を閉ざした。尻餅をついたまま頭を掻く。少し距離をおいて登校する生徒らは「またか」と各々心の中で思った。
「随分な挨拶じゃないかルカワクン?」
「…オハヨー」
桜木は座り込んだままの流川を仁王立ちで見下ろす。棒読みの朝の挨拶は桜木を更に苛立たせるのに一役買った。しかし流川が手の甲にできた擦り傷を確認するのを見て、それは瞬時におさまった。
「…何だ、怪我したのか」
「カンケーねー」
「カンケーはあるだろーが!言っとくがな、俺が怪我してねえのが不思議なくらいなんだぞ!それが何だ、テメーの方が怪我してるなんてどう考えても日頃の行いの差!あと天才と凡才の差!」
「朝からベラベラうっせー」
「なにおう?!」
流川は腰を上げてズボンに付いた砂埃をはたき落とす。そして何事もなかったように桜木の横を通り過ぎようとしたが、それは阻まれてしまった。「オイ」いつもの怒鳴り声とは違う、低い声で呼び止められたからだ。無視でも何でも出来たはずだったが、流川は振り向くことを選択した。
「何」
「今度からは居眠り運転は止めろ」
「何で」
「あ?!あぶねーからに決まってんだろ」
「んなことわかってる」
「…わかってねえだろ」








20131228

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