(文化祭でコスプレ、藤真様は割とノリノリで女装してくれる(しかも着こなしてくれる)はず)








藤真は大物だと思う。
「藤真くん、写真撮ってもいい?」
「ああいいよ」
こんな調子の会話を今日は何回聞いたことか。藤真は嫌な顔ひとつせずくいと口角を上げる。「花形くんも一緒にお願い!」なんてとばっちり受けたみたいな俺にはそんな器用なこと出来はしない。
何故これほど声をかけられるのか、写真を撮られるのか。原因はただひとつ。藤真の完璧なまでの女装姿だ。藤真は所謂メイドに扮していた。頭には白いフリルのついたカチューシャ。半袖のそれっぽい黒のワンピースにこれまた白のフリル多めのエプロン。足は長い黒靴下をはいている。毛先がくるりと巻かれた、同じような髪色のウィッグもつけ、クラスの女子に軽く化粧までしてもらった藤真は結構ノリノリだった。
「お前には感心するよ」
俺の一言に藤真が振り返る。肩甲骨までかかる明るい茶髪と膝上丈の黒スカートがひらりと舞った。すごく、今時の女の子っぽいなあなんて思ってしまう。隣で見ていても当人がじっとしていれば全く違和感はないのだ。
「素直に褒めたらどうだ、花形」
写真を承諾するときとは別種の、確信犯的な笑みを眉を垂れて受け止めることしか俺にはできない。もともとはっきりした目許に更に化粧を施したので、まばたきするたびぱちくりと音がしそうだ。
「褒めてほしいのか?」
「ん…まあそういうわけじゃないけど。感想が聞きたいな、お前何も言ってくれないからさ」
「感想…なあ…」
わざとらしく自分の下顎に親指を当てて、考えた。ストレートにかわいいって言ったらどんな顔するんだろうな。そう思いはしたものの、今日は一日中かわいいかわいいと連呼されているから大した反応は見せないだろう。むしろうんざりされる気がする。「ボキャブラリー少ねえな」とか。けれども感想を求められたのだから率直に答えてやろうか。
「フツーにかわいいと思う。みんな言ってるけど、似合ってるしな。…って女装似合ってるって言われても嬉しくないか」
俺は軽く笑いながら言った。こちらを見上げるキレイな顔は、固まっていた。口数の多い藤真が会話を放棄するとはなかなか珍しい。ベタに目の前で掌をひらひら動かして「ふじまー?」と声をかけた。瞬間身を翻される。そして、こちらに背を向け縮こまった。
「…お前かわいいとか言うなよ」
「ああ、…照れてたのか」
「ちっがう!」
「何で否定するんだ?みんなに散々言われてたじゃないか、お前こそ素直に受け止めればいいだろ」
「…花形に言われるとダメなんだ、…恥ずかしい」
「…そう言うお前も相当だぞ」
むうと唇を尖らせながらこちらを窺う姿が実にいじらしい。





藤真様ほんと美少年、ってムラムラしたので女装話
ポイントは花形がニーハイと言わず長い靴下と言うところ

20131228

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