ヤってない
触り合ってる(描写は少なめ?)










ふっと目蓋を上げてニ、三回まばたきをする。ぼう、と真っ白い天井を眺めた。朝か。何時だ。ベッドの端にあるであろう時計に手を伸ばすため、ごろりと寝返りをうった。するとある独特の感覚に気付く。
「たってる」
ごく自然に出た独り言だった。男の生理現象のひとつ。目線を下げれば確かにソコが膨らんでいた。
「おはようノブ」
「…じんさん…あそっか泊まってったんでしたっけ」
ベッドの下から先輩の顔が現れて、漸く思い出した。昨夜はテストの備えて勉強を教えてもらって、そのまま俺んちに泊まったんだった。寝起きはどうもボケてしまう。俺は髪をグシャグシャ掻いた。
「うす」
「勃ってんの?」
「ハイ…、えっ?」
神さんがいつものすっきりした声で訊くから素直に頷いてしまった。顔を見れば若干目許がふにゃりとしているくらい。俺よりは目覚めはいいらしい。
「どうすんの?」
「はー…トイレ行ってきます」
裸足を床に付けて立とうとしたとき、「待って」と呼び止められた。
「なんスか?」
「見せてよ」
「へ?」
「ノブがオナニーするとこ、俺見たいな」




どうしてこんなことしてるんだっけ、と思い出していた。俺がシコシコと抜いてるブザマな姿を神さんが涼しげな顔でベッドの縁(へり)に頬杖突きながら眺めている。
「そんなジッと、見ないでください…ってば、」
「えー、俺ちゃんと見たいって言ったじゃない。それで今ノブが俺の目の前で抜いてるってことは、許可したってことだろ?」
「ぅ…神さんちょっと、ズルくないスか。俺…寝起き苦手なんに…」
「そうかな。…もうちょっと手、動かしなよ。それじゃいつまで経ってもイけないよ?」
口を動かすことに気をとられて手の方が疎かになっていた。わざわざ指摘するなんて、神さんっていやらしい人だ。さらっとしているから尚更だ。
「見られると興奮する?」
じいい、と、上向いてる自分のモノを見つめられる。神さんの綺麗な顔がずっとソコを向いて微動だにしない。本当にいやらしい人だ!
「うん、おっきくなった。やっぱり興奮するんだね。濡れてきてるしそろそろイく?」
「やだよ、いやだ、そん、そういうこと言わないで、神さん」
「信長ほんとう、かわいいな」
頬杖を崩した神さんは前に出した腕に顔を乗せる形を取った。うっとりと、笑って目を細めている。俺は目の前の先輩が分からなくなってきた。俺をかわいい、って。
「俺に言われて素直にオナニーする信長、俺に軽く責められて興奮する信長、喘ぎながら俺のことを呼ぶ信長。すごくエッチでかわいいよ」
そう述べる声が妙に熱っぽく色っぽく感じて、俺の心臓もどんどんうるさくなっていく。それに伴って全身が、主に顔と中心が熱い。ただのオナニーならこんなに恥ずかしくなることはないのに。見られているのだって、普通の友達とやるような見せ合いっことは全然違う。俺はやったことないけど。
ただ見られてるだけ、なのにこれじゃあまるで、神さんに、犯されてるみたいだ。
「神さん、やめて、」
「ノブこそほどほどにしてよ。そんな声出されちゃ俺まで勃っちゃうよ」
「、え」
「言わんこっちゃない」
ようやっと神さんの目線が俺から外れたと思ったら、神さんが床から腰を上げてベッドに乗っかってきた。ギシリと揺れる。呆然としていると汚れた片手首を掴まれ引っ張られた。
「コレ、100パーノブの所為だよ」
触れたのは、今朝の俺と同じように、いや多分それ以上に膨らんだ神さんの股間だった。
「ノブ、俺のも扱いて」
「信長」念押しのように重ねて呼ばれ、目眩がした。神さんが自分でズボンと下着をズラしてソレを露わにする。そしてもう一度俺に触らせる。熱い。今の状態で限界だと思っていた顔の熱が、指先から伝わった新たな熱で更に上がった気がした。寝起きのボケはとっくに消え去っていた。代わりに、膨大な熱で頭が働かなくなっていた。
「信長、聞こえてるなら返事」
「、は、はひ…」
「いいこ。早く扱いて?」
俺に覆い被さって耳元で囁くから、全身痺れてしまった。固まった節々を再び動かして、神さんのモノを緩く握る。全体を擦って裏筋をなぞった。巧いかヘタかはわからないが、それなりに感じてくれているらしい。もっと感じてほしくて、もう片方の手も伸ばした。
「あれ。いいの?自分は」
「あ、ええと、神さんにもっと、気持ち良くなってほしい、す」
「…言うなあ…じゃあ俺がノブのね」
「…えっ、えっ…?」
確かに、二人のモノを同時に扱くのは難しい。どちらかが疎かになってしまう。だから俺は神さんを優先したわけだが、事態は思わぬ方向へ展開してしまった。マジの『見せ合い』だけではなく『扱き合い』をすることになろうとは!これは墓穴だったかも、しれない。なんていう苦悩は神さんの掌の感触でぶっ飛んでしまった。神さんが俺の腰を捕らえて引き寄せた。
「ね、もうちょっとこっちきて」
「わ、と」
「これなら近くてやりやすいし、よく顔が見えるよ」
神さんが足を伸ばして座るその上に、向かい合わせで座る俺。神さんの言う通り、よく相手の姿が見える。冗談じゃないくらいよく見える。それ即ち同じような光景が神さんの前にもあるのだ。それを考えると切実に死にそうになる。
「俺だってノブに気持ち良くなってほしいからね」
一緒に気持ち良くなろうか、なんて。天使のような微笑みで悪魔のような囁きをする先輩に逆らう術を、俺は知らない。







20131228

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