「…何をした」



何かと攻撃を繰り出す手足を封じ込めて、顔を寄せた後の第一声とは思えない。つまりは私はキスをした、はず、なのだけどその彼の反応は鈍いにも程がある。顔色ひとつ変わらないところと発言からしてキスというものをどうやら知らないらしい。身動きが取れずやたら近距離なのが気に食わないのか、更に眼光を鋭くさせる。にっこり笑いかけてみると彼はすっと顔を上げた。何故上を眺めて居るのだろう、と見つめていたら、瞬間ガツンと前頭部に衝撃。視界が揺れる。さすがの私もじんわり額が痛い。頭突きとはなんて手荒な…。その隙に彼は強引に手足を引き離し、ひょいと後方へ下がった。



「つ、つれないですね…あいたた」
「自業自得だ」



頭突きというのはやった方もやられた方も同じ衝撃を受けるはず、しかしフォルテは至って涼しい顔をしている。石頭なのか。またひとつ彼のことを知った。







20130803

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