ブウ編あたりの時間軸





「「ピッコロさーーーーーん!!」」



溌剌とした幼い声が草原に響き渡る。人も建物もない、辺境の地にはそぐわない。呼ばれた当人は顔を上げ声のした方を見やった。始めは雲一つない青空しか見当たらなかったが、直ぐにそこへ小さな人影が現れみるみるうちに距離は縮まる。ピッコロが知り得る、自分を訪ねるような子供は二人しか居ない。やんちゃ盛り生意気盛りなちびっこだ。今日はまた一段と騒がしいな、と来訪者の姿を眺めながら彼は思った。すると来訪者が二人ではなく三人であることに気付く。着いて一番に口を開いたのはちびっこではなくかつての彼の弟子だった。



「こんにちはピッコロさん」
「何だ、悟飯も一緒なのか」
「あっ!トランクスくんダメだっピッコロさんあれ隠してるよ!」
「げえっ本当だ…」



律儀に頭を下げて挨拶をする悟飯、その横にいるちびっここと悟天とトランクスは何やら他のことに気をとられているようだった。悟飯は保護者よろしく二人に注意した。



「コラ二人とも、ピッコロさんに挨拶するの忘れてるぞ!」
「わ、そうだった!こんにちは!」
「こんにちは!」
「あ、ああ」



慌ててピッコロに向き直り、二人は頭を下げた。彼は頷いて返すと早速本題に入った。



「お前らこんな所まで来て一体何の用だ?」



その問いに答えたのは悟飯だった。



「いやあそれがですね、この二人の好奇心が留まるところを知らなくて」
「は?」
「ちょっと付き合ってあげてくれませんか?」



ピッコロは首を傾げた。「組み手でもしたいのか?」呟くと「違うよう!」悟天が唇を尖らせて返した。



「ピッコロさんそれ取って!頭に巻いてる白いヤツ!」
「ん…?コレか?」
「早く早くう〜」



続いてトランクスがせがむので、彼は言われるまま頭のターバンに手をかけた。二人は前屈みになって急かしにくる。白い布がくるくるとほどけていく。



「…取ったぞ。コレがどうした」
「「触っていい?!」」



瞬間悟天とトランクスが声を揃えて言った。



「…、こんな布切れをか?」
「そっちじゃなくてその頭の、ピョンってしてるヤツのこと!」



話の流れからそうなのかと思っていたピッコロだったが、子供というのは大人が思いもしない変化球を投げてくるものだ。ご丁寧に「それ!」と指をさされた。彼が絶句するのも無理はない。それきり口を固く閉ざしてしまった。



「…ありゃあ…悟天、トランクス、やっぱり無理なんじゃないかな」



暫く見守っていた悟飯が二人を宥めにかかった。始めから望みは薄いだろうと考えていたらしい。彼らの頭に手をのせながら言うと、「えーっ?!」と大袈裟なくらいに叫んだ。子供の特権のひとつであるおねだりを行使する。



「ダメなのピッコロさん?!」
「…」
「お願いだよ〜その為に俺たちここまで頑張って来たんだ!」



「その為だけにってどうなんだ…」と悟飯は呟く。頑張って来た、と言うのも、二人ならばここまで来るなどわけないということは悟飯にもピッコロにもわかっている。



「…、…わかった」
「えっいいんですか?!」
「ああ、別に問題はない」
「やった!やったねトランクスくんっ」
「おう悟天!」





(メモ)最終的に悟飯ちゃんも「ぼ、僕もいいですか…?」とか言っちゃえばいい

20130507

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