ベロンベロン泥酔棘田氏を介抱する大和





とろりと瞼が閉じかかったまま、彼はもにょもにょと呼ぶ。
「やあとー」
ずしりと脱力する傍らの存在に苦笑する。『大和』この三文字さえ発音不能になるくらいに棘田は酔いつぶれていた。
成人を迎えてから、彼はよく飲酒するようになった。大学の友人間での飲み会にもちょくちょく参加するようで、こうしていい気持ちになって帰ってくることが増えた。大和は棘田が飲み先で何かしでかしているんじゃないかとハラハラする反面、いくらか素直になってくれるのが嬉しかった。
「おまえはぁ、ナマイキあんだよー」
「泥酔だね。はい水飲んで」
「おー」
すると彼は大和の手からガラスコップをかっさらい、勢い良く傾けた。一筋二筋に留まらず幾筋も口端から溢れる。棘田は構わずに冷えた水を飲み干し、ペロリと唇を舐めた。顎から首筋まで流れた跡はそのままだ。ギクリ、大和は思わず喉仏を上下させた。こういう隙が多くなるところはやはり、少々困る。大和は机の上に乱雑に置かれたティッシュを取り、彼の口許を丁寧に拭ってやった。
「気分は、どうかな」
「あっちィ」
「他は?吐き気とか」
「別にぃ?」
棘田は水滴を拭う大和の手をじっと見、一言「ナマイキ」とまた言った。
「おれを介抱しよーなんざあ、三十一年四ヶ月はえーんだよ!」
「いやに微妙かつ具体的な数字だな…」







20130322

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