大和がえらくひどい





『今夜23時』
掌の機械の画面に映し出された文字。送信者、大和猛。二時間後に家に来い、だそうだ。
俺は大和がきらい。大和も俺が嫌い。でもセックスする。これ如何に。友達でもないしそもそも同性だけど世間でいうセフレです。歪んでるね。
いっちばん最初はレイプされました。学校で、あんまり使われてないトイレの個室だった。急に連れて行かれてネクタイで目隠しされて、色々やられた挙げ句尻に半分くらいムリヤリ突っ込まれたけど入りきらなくて。最終的にイマラチオに近いフェラチオをさせられた。入りきらなかったのは、初めてで充分に解されなかったのと大和のがデカかったから。抵抗しなかったのは、相手が大和で力の差は歴然だったのと男にレイプされてるとこなんか他人に見られたくなかったのと、存外気持ちよかったから。痛くて苦しいのが多かったけど快楽も垣間見た。耳とか乳首とか嘗められたのは本当に気持ちよかった。
以降こうやってメールで呼び出しとか連れ出されたりで数を重ねてます。俺は気持ちいいからやってるけど、大和は何でやるんだろうなあ。大嫌いな俺をメッチャクチャにしたいのか。その意思は計り知れないが何しろ最中の顔を見たことがないのだ。例の如く目隠しとか、後ろからヤられるのが常だから。どんな顔してこういう俺を見てんだか。
家出て駅行って電車乗って通学とおんなじ駅に下りて、徒歩15分。ありふれたマンションの一室、扉の前。大和は一人暮らしだ。両親はアメリカに残っていて、ヤツは仕送りで生活してるとか。まあやりたい放題できてしまうわけだ。
このチャイムを押せばまた速攻セックス、大和の機嫌がよろしくなければそれでサヨナラ。まあまあよければ風呂くらいは貸してくれて、少しばかり長居ができる。
大和君、三年生はもう受験生なんだから。そんなヒマじゃないんだけど一応。でも俺はどうしようもなくお前をダメな方向に好きになってしまったから、呼ばれたら行っちゃいます。報われないのは分かり切ってるんだけど、俺ってマヌケ。
気付いて欲しいけど気付いて欲しくない。どっちでもいいや、だいすき大和。