「俺が好き?冗談もほどほどにしろよ」
冗談じゃない。俺は本当に君が好きなんだ。なのに君は一向に耳を貸してくれない。こうしている間にも俺の身体の奥底でこの恋情が溶けて溢れているのに。受け止めてくれ。受け止めた後はどう始末したっていい。まずは、すでに零れたそれを受け止めて欲しい。
けれど君はそれさえも拒否する。どうしたら俺を真正面から見てくれるんだ。俺のことを考えてくれるんだ。遠ざかる背に手を伸ばした。
ガシッ
「うわっ」
腕を掴んだ。引き寄せた。壁に左手首を押さえつけた。大きく開く眼。ああ、俺が映っているじゃないか。
「ってェ…、なに」
口を塞いだ。むにむにと柔らかくて、ぺろり。
「ん」
ピク、手首がしなった。抵抗している。可愛い、可愛い可愛い、愛らしい。
「あ、ふ」
唇を割って舌を入れる。舌に触れたら全身が震えた。れろ、と舌同士を擦り合わせる。上顎をなぞる。空いた右手が弱々しく俺の制服を掴んだ。じっくり唇を離した。
「っは、あ…」
てらてら濡れてる彼の唇、たらりと唾液。荒い呼吸に赤い頬に潤んだ眼、好きだ大好き愛してる。そして、欲しい。
「お前マジで、っキスとか…」
「これじゃあ君には伝わらないのか?」
接吻で唇から唇へ気持ちが伝わればいいのに、人間とはなんて不便。駄目押しでもう一度、俺の声で伝えよう。
「俺は棘田氏が好きだ。冗談なんかじゃない。…君は俺など眼中にないのか、それとも」







20130322

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