『二度目の恋をしている』



オレは今、堺さんに二度目の恋をしている。

一度目の恋、つまり片思いをしていた頃は、堺さんの厳しくても経験に裏打ちされた確かな言葉とか、鋭く前を向き、ストイックなまでにゴールを求めるFWとしての、そしてフットボーラーとしての姿勢とか、ほんの時折、ごくたまに見せてくれる優しさとか、そんなところが凄くて、格好良くて、好きだなと思っていた。
今、堺さんと『恋人同士』という関係になって、それまで知らなかったことが沢山あったのだと気付かされた。
それは堺さんについてのことも勿論あるし、あるいはオレ自身についても、沢山。

例えば、堺さんはオレの他愛無い内容のメールにも、短くそっけない文面ではあるけれど、必ず返信をしてくれること、とか。
朝起きるのは早いけれど、覚醒しきるまでは三十分は掛かるのだということ、(その間のふにゃふにゃした状態の堺さんの可愛いことと言ったら!)とか。
そう、いつだったか二人で朝を迎えたときのこと、朝食のメニューは和食か洋食どちらがいいかと訊かれ、オレは洋食がいいですと答えたはずなのに、食卓にはカロリーと栄養を完璧に計算されたおにぎりと味噌汁、温野菜のサラダが載っていた、なんてことがあったりした。

それから、堺さんはオレの髪の毛を触るのが好きらしいということ。
しかもそれがどうやら無意識の行動であるのだということ。
堺さんの家のリビングでソファに並んで座ってTVを観ていたとき、ふと気付くと堺さんの指がオレの髪の毛先を弄っていたことがある。
キスをするとき、必ずと言っていいほど後頭部に片手を添てくれること、とか。
セックスの際、汗で額に張り付いた前髪を度々指で掻き上げてくれること、とか。
ふとした瞬間に、堺さんの少し厚めの掌と器用に動く長い指で、撫でられたり、掻き回されたり、掻き上げられたり、指で絡ませられたり、手櫛で梳かされたり。
そうされることが、オレはすごく好きで、すごく嬉しいということに気付いて。
それまでオレが知らなかった堺さんの一面を見つける度、やっぱりオレは嬉しくて、好きだと思う自分を発見して、もっともっと知りたいと、もっともっと、一緒に居たいと、こいねがう。

だからオレは今、堺さんに二度目の恋をしている。



サクセラSSS。
付き合うまでにはすったもんだあれども付き合っちゃうとものすごく甘い堺さんとか萌えます。
最初はもっと長かったり暗かったりしたのですが推敲したら豪い惚気た文になっていましたよ。
ええいもう思う存分惚気ればいいさ!惚気たまえよ!


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