『Baby,don't cry.』



「オッマエさあ、もうちっと声とか抑えろよ」

溜息を伴った呆れ声で言われ、オレは薄目を開けて頭上の彼の人を見上げた。
「は……ぃ?」
慎吾さんは器用に片眉を上げてオレを見下ろしていた。



「声でかすぎなんだよ。…ココどこか分かってんだろ?ラブホじゃねーんだぞ」
「わ、かって…ッ」
わかってるよそんなの。ココは社会科準備室で、オレは慎吾さんの腕の中。オレの中には慎吾さん。
「分かってんならちょっと位我慢してみろって。……まあ利央だから無理か…」
まるで「のび太のくせに」みたいなリフジンな言われ様。ジャイアニズム。このヒト絶対前世ジャイアンだ!
(前準サンに言ったらジャイアン死んでねーし。つか漫画だし。とツッこまれた。)
「はっ!?何スかっ、それぇ…っ……ッン!」
抗議を上げようと開いた唇はそれも叶わず、たちまち慎吾さんに塞がれてしまう。

「ん、っ…ふぁ、………ア!!」
唇が離れるのと同時にナカをかき回され、思わず高い声を上げてしまった。
「…利央」
耳元で慎吾さんの声。
十数秒前に言われたことを思い出し、慌てて両手の平で口を塞いだ。

漏れそうになる声を必死で堪える。
「………っ、…………く!」
自由に呼吸出来ていた先刻より、圧倒的に酸素が足りない。
与えられ続ける快感と相俟って、だんだん頭がクラクラしてきた。

こうやって声を出せない状態で揺らされていると、まるで無理矢理やられてるみたいだ。
そう考えた途端にズクリと下腹が反応して、慌ててその妄想を打ち消す。
無理矢理犯されて、しかもそれにコーフンしてしまうなんてそんなのまるでヘンタイじゃないか。ありえない、ありえない。

しかしそれを言うなら今のこの、試験期間中の放課後に人目を忍んで先輩、しかも同性の―――と性行為をしているなんて状況はありえるのか、と問われそうだが、あいにくそういうことはこの先輩とこういう関係になってから一切考えない事にしている。
考えたらもの凄く頭がぐるぐるしてしまいそうだし、ありえるありえないとかそんなコトより、今ここでこうしているという事実の方が、きっと大事、だと思う。



「っは、利央…っ」
「……っ!!ア、」
名前を呼ばれ、髪を梳かれたかと思うとくるりと体勢を入れ替えられた。
「や、しんごさっ、ンッ、あっ、…あ!」
奥まで強く深く突き上げられて、一緒に扱かれて、きもちよくて、もう何も考えられなくて。

「あっ、あ!ああああぁぁっっ!!!」



そのまま、流されるように堕ちていった。







じっと。
慎吾さんの視線がオレに注がれている。
視線の鋭さに居たたまれなくなって、座ったまま僅かに後退した。

2回目の時にはもう言われた事など忘れて声を上げまくって、抑えられたのは結局、トータルで3分にも満たなかったのだ。
慎吾さんの視線は無言でそれを責めている。


でも仕方ないじゃないか。

「だって、」

誰がその声を、

「しんごさんの、きもちよかったんだもん」

出させてると思ってるんだ。



そう零し、非難の目を慎吾さんに向けると、
「………………っ」
「……え?」
珍しいものを見た。

いつもは眠たそうな二重の瞼が見開かれ、耳の先まで顔を紅く染める、あなたなんて。





…………島利央?
自分でもちょっとビックリです。でも利央受けは決してキライじゃない(寧ろスキ)フジイです。もぐもぐごくん。

利央は最中の時声がでかそうだなあ!という話。
そして無意識で殺し文句を言えちゃう子だと思うよ。


ていうかいきなりエロでスミマセン(平伏)。
乱文失礼しました…!

2005/08/31/フジイ。


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