「仁王があぁなったのはお前の所為だろう!ここから出て行ってくれないか?顔を見たくない」


酷い事を言ったという自覚はあった。

でも、止まらなかったし、止める気もなかった。

仁王が事故に遭ったのは今から3日も前のことだ。

一緒に居たという丸井の娘は怪我一つなく、仁王の病室で付き添っていた。

その姿を見た瞬間、何故コイツが生きていて、仁王が眠っているのかと怒りが湧いた。

丸井の娘は俺を見てから、仁王の病室を出て行った。


「幸村さん!」


赤也の声が聞こえ、振り向けばそこには赤也だけではなく、中学から高校と部活を共にした仲間が揃っていた。


「やぁ」

「仁王は?」

「まだ目覚めてないよ」


その答えに全員が悲しげな顔をする。

それもこれもアイツの所為だった。


「文月は…」

「誰?それ」


名前も聞きたくないアイツの名前を赤也が紡ぐ。

即座にアイツの存在自体を否定した。


「精市」

「アイツの所為だよ。仁王がこんな風に寝ているのは」

「幸村くん」

「アイツがっ…」


涙が溢れた。

アイツさえいなければ…。


「アイツを恨めば、仁王は救われるかな…?」


それは間違った答え。

分かっていても、止められなかった。




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